織田作の面影 -伍-

佰捌拾弐 ページ23

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あれ程迄に、厭そうな顔をしていた林さんだが

如何やら来てくれる様だ。





林「あんたの私服……ダサいわね」

『兄の服ですし』

林「男が着るならセンスは良いとして、あんたが着るとね……」

『ちゃんと胸引っ込めて、髪も短くしたじゃないですか』

林「単刀直入に云う事にするわ、男装すんなって云ってるのよ！」

『意味が全然違う……。』


プライベートでのお出掛けでは癖になっている男装

然し、自分でも完璧だと毎回思う。



林「……ま、男にナンパされなくなるだけマシね」

『はは……私は前に逆ナンパされたけどね』

林「其の女性達の目は節穴なのかしら」

『我ながらイケメンだと思った事がある』

林「はあ？」


明らかに怪訝な顔付き

之以上は黙っていた方が良さそうだ。



『あ、着きましたよ芙美ちゃん！』

林「だから其れやめてくれない！？

何、私の異能が通じない程云いたい訳！？」


……異能か

効果はもう無いけれど


私は一度“やめろ”と云われている

うん、発言が軽かったかな



『真逆……忘れてただけです、林さん。』

林「薄い脳ミソしてるわね。」


私が林さんと訪れたのは大型のペットショップ

マイナーの犬猫以外にもエキゾチックアニマルが多数揃っている。



林「ペットでも買うの？」

『飼いませんよ、見に来ただけです』

林「変なの」

『女性で云う、ウインドーショッピング』

林「反吐が出る程の納得力ね」



中に入れば特に鳥の鳴き声が店内に響いていた。


林「其れで、何が見たいの？」

『全部。』

林「……」


一瞬で、呆れた顔に変わった林さんだが

ペット達を見ると頬を緩めた。




林「……可愛い…………」

『……！』







……何だ、良い顔するじゃんか


『ピグミーヘッジホッグが好きなんですか？』

林「え、な、何それ

ハリネズミじゃないの？」

『大差無いです』

林「ね、ねえ！

この子が今何を思っているのか判るの？」

『判りますけど……聞きたいんですか？

お勧めはしません』

林「何よそれ、聞きたいに決まってるじゃない」

『……“何此方見てンだよババア！”』

林「何だと此の糞鼠ッ！！」

『林さん、小屋を揺すらないでください！？』



ペットショップへ行くと、偶に複雑な気持ちになる



お母さん……って泣いてる子は当然居るし

従業員に、ぶたれた事をトラウマにしている子も

引き取られたくない、此の人は厭だと嘆く子まで居るからだ。









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