織田作の面影 -伍-

佰漆拾壱 ページ12

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『ねぇ、芥川

好い加減其の黒い可愛らしい獣は仕舞って欲しい』

芥川「……」


部屋への帰りにバッタり鉢合わせたと思いきや

いきなり襲われたのだ。


咄嗟にナイフで黒獣を止めるも

既にナイフには罅が入り、砕けそうだ。


受け止める腕の筋肉も、若干の震えが始まった。




ポートマフィアに身を置くからには、何れ出逢う事は避けられない


『今は味方同士なのに、何故私を狙うの？

貴方は、貴方だけは違った』

芥川「……何がだ」

『上の命令ではないと、そう云っていたよね』

芥川「僕の事など良い

唯、戦え……僕と。」

『……そうだ、芥川さ

体調はどう？』

芥川「何……？」



一ちゃんと関わって、疑問に思っていたもの

其れは、芥川の身体の状況


よく咳き込むし、敦君との死闘の末

あれ程迄にぼろぼろだったのだ。


偶に構成員の話を聞くが、芥川には大きな任務は回ってきていないらしい





芥川「……僕から聞きたい事がある」

『私の質問は？』

芥川「答えぬ。」

『……』


……まったく。



芥川「あの時、何故僕を助けた


敗残兵には死有るのみ

一命を取り留めただけでなく、敵に救われるなど

屈辱意外の何物でもない」

『そうだね、其れは私を何度も襲った復讐として捉えてくれても構わないよ』

芥川「貴様……っ」

『けれど、仮にも恩人に歯を剥く者が＿＿＿＿＿

……。』




……あ、駄目だ

私は、此の先の言葉を云ってはいけない。


私には其の資格が無いと共に

私は彼の恩人だと思ってもいけない。



彼が望んでいた結果として、不十分だから




芥川「……先程の質問に応えよう

僕は、あの人に認められる為に強くなる必要がある


絶対的な力、其の為の一つの通過点として

裏社会で最も名の通った斬艶、貴様を倒す」

『ははあ、成程

私が斬艶だから、か……


……何時、其れを知った？』

芥川「林春彦、其奴からだ」



また、彼奴か

うぜぇ……。







『……良いよ、戦ってあげる

君が負けたなら其の時は、私に襲い掛かるのはやめてくれよ』



私は罅の入ったナイフを床に落とした


パリン……と音を立てて砕けたナイフ



そして、懐からはナイフより少し刃の長いものを取り出した。



芥川「……貴様の其の顔

何処かで見覚えがある



ミミック抗争の時、僕を助けた男だ」









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