兄様、矢張りカレーは甘口がいいです ページ26
それから暫くの間、子供達と会話し、「次は仕留める。」と云う子供達の言葉に、楽しみにしている、と答えた。
それから俺は二階を辞した。
一階の店舗に戻ると、新客の声が二つ聞こえた。何方も聞き覚えのある声だった。
太宰「辛っ!辛いよおじさん、これ辛い!隠し味に溶岩でも入ってるの!?」
「確かに、この辛さは異常です...」
店主「ははは、そうかい?織田作ちゃんは何時とそれを食べてるよ。お帰り織田作ちゃん。子供達はどうだった?」
織田「際どかったが、今回も敗北は防いだ。だが俺が掴む場所を予測して予めクレヨンで滑るように仕込んでいたのにはひやりとさせられた。十人いれば銀行を襲える親爺は云ったが、後二年もすれば五人でやってのけるだろう。」
太宰「その子供達をスカウトすべきかな?」
太宰が汗を拭きながら笑った。
太宰「聞いたよ織田作。子供を養っているんだって?それも龍頭抗争で親を失った孤児達を。」
どれ程隠しても、太宰ならば半日で調べあげてしまうだろう。「そうだ。」と俺は頷いた。
「二年前に起こった、ポートマフィアを含む複数の組織を巻き込む裏社会での大規模抗争、龍頭抗争。ある異能者が死んだことで所有者不在となった裏金五千億を巡って、関東一円の黒社会が繰り広げた流血と殺戮の宴。その結果の殆どの違法武装組織が、壊滅に近い打撃を受けたのですよね。」
太宰「決して殺さず、凄腕なのに出世に興味がなく、孤児を五人養うマフィア、織田作之助。」
「変わってますね。マフィアの中でも一番だと思います。」
太宰が居る限り一番はないだろう。
俺は店主に向き直り、コートのポケットから札束の入った封筒を取り出した。
織田「親爺、子供達の当面の生活費だ。」
店主「大丈夫なのかい織田作ちゃん?」
店主が気遣わしげな声で云いながら、前掛けで手を拭いてから封筒を受け取った。
店主「稼ぎの殆どをこっちに回してるらしいじゃないか。...善ければウチでもいくらか負担を。」
織田「親爺には場所を貸して貰って感謝している。それに俺は、この店の咖喱が何時も食えるだけで十分だ。」
太宰「本当に織田作はこの辛さを何時も食べてるの?」
「辛すぎて顎が外れそうです。」
織田「それで太宰、此処で何をしている?Aさんの方は首領の命令で俺の手助けをしてる事は判るが...」
太宰「織田作に例の件の報告をと思ってね。あれから色々判ったよ。特に敵について。」
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作者名:迷ヰ猫 | 作成日時:2020年2月12日 23時