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兄様、少し省略致します ページ25

店主「咖喱の味はどうだい?」

織田「いつも通りだ。」

この店の咖喱飯は至ってシンプルだ。角が落ちるほど煮込んだ野菜と、大蒜で炒めた牛スジ。薄口の出汁。それらを微妙な調合比率のスパイスと共に煮込み、多めの白米にかけてさらに混ぜる。玉子とソースをからめて食べる。

満腹になり、ささやかで個人的な幸福が足元で漂うのを感じながら、私は珈琲を飲んだ。それから訊ねた。

織田「子供達の様子はどうだ?」

店主「相変わずだよ。」

店主は料理皿を布で拭きながら答えた。

店主「小型ギャングさ。五人だからまだ何とかなってるけど、もう五人増えたら国際協力銀行の襲撃だってできそうだね。皆二階にいるから、顔を出してくるといいよ。」

言葉に従うことにした。洋食屋の上階は古い会議室を改装した居住空間になっていた。鉄筋剥き出しの混凝土壁や染みの浮いた壁紙に囲まれた階段を登ると、子供達の居室と書庫へと繋がる二つの扉が見えた。居室への扉を潜る。

織田「よう、元気か?」

俺は子供達に声を掛けた。

織田「親爺さんに迷惑を掛けていないか。親爺さんはかつて凄腕の軍人だったから、その気になれば文句をたれるお前達五人を一瞬で__」

冗談を云っている途中で気がついた。子供達は五人の筈だが、目の前にいる子供達は四人しかいない。右手にある二段寝台の上で、何かが動く気配がした。

俺は咄嗟に腰を落として姿勢を低くした。寝台の上の闇から敏捷な影が飛び出した。五人目の少年だった。俺は頭を落として、飛びつこうとしたその影を躱した。

だがその襲撃は囮だった。絵を描いていた少女が、バランスを崩した俺の右足に飛びついた。

最初からそういう手筈だったのだ。俺は片足の自由を失ったまま、次に来る本命の攻撃に備えて足を踏み出した。だが踏み出せなかった。

つい先程まで綾取りに使われていた縒り紐が、俺の足の進行方向に仕掛けられていた。罠。

思い切り張られた縒り紐が足首に引っかかり、私の躰は着地場所を失ってむなしく宙を泳いだ。

(省略)

俺はギャングを束ねる頭目の両脇を掴んで持ち上げ、逆しまにして揺すった。少年は二日酔いの山羊のような声を上げた。

織田「参ったか?」

少年「参らない!」

残りの子供達はもはや戦意を失い、頭目が何分の間指揮官としての矜恃を保つことができるのか見学に入っていた。

織田「ならばマフィア流の拷問といこう。」

俺は少年の両脇を掴んで、思い切りくすぐった。

兄様、矢張りカレーは甘口がいいです→←兄様、これは新手のプレイですか?


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作者名:迷ヰ猫 | 作成日時:2020年2月12日 23時

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