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拾捌 ページ20

フョードルSide

イワン「フョードル様。そろそろAが起きる時間では?」

フョードル「そうですね。イワン、食事の用意をお願いします。」

イワン「わかりました。」

ぼくは階段を上がりAの居る部屋へ入った。其処には背を向けベッドに座っているAの姿があり、ぼくはそっと近づいた。

フョードル「A、おはようございます。」

「...」

フョードル「良く、眠れましたか?」

「...」

フョードル「A、今回の事ですが....A?」

さっきからAの反応が無く、ぼくは少し嫌な予感がしAの顔が見える方へ移動した。

フョードル「A!」

Aは虚ろな目で自分の手首を鋏で何度も何度も刺していた。ぼくは慌ててAの手から鋏を奪い部屋の隅に捨てた。

フョードル「ゴーゴリ!」

ぼくが叫ぶとゴーゴリは異能力ですぐに現れた。

ゴーゴリ「どうしたのドスく...Aの腕どうしたの!?」

フョードル「早く救急箱をお願いします!」

ゴーゴリ「わ、わかった!」

ゴーゴリが救急箱を取りに行き、ぼくはとりあえず近くにある布で止血をした。

フョードル「A、何故こんな馬鹿な事を...」

ゴーゴリ「持ってきたよ!」

ゴーゴリが救急箱を持って来ると僕はすぐにAの手当を始めた。

「....て。」

フョードル「A?」

「どうして、中也お兄ちゃんと話しちゃ駄目なの?」

フョードル「それは...」

「私は、ただ中也お兄ちゃんと話がしたいのに...中也お兄ちゃんと一緒に、遊びたいのに...」

Aの虚ろな目から涙が流れ出した。

「フェージャお兄様、どうして?どうしてなの?どうして、中也お兄ちゃんと話しちゃ駄目なの?折角、お花の冠貰ったのに...中也お兄ちゃんとまだ沢山話して、遊びたかったのに...」

フョードル「A....」

ぼくはその言葉に何も言えず、ただ泣いているAを抱きしめる事しかできなかった。

やがて数分後、Aは泣き止んだが目に光は戻らず、何時も完食するイワンの料理も残しては部屋に閉じ籠ってしまった。

ゴーゴリ「ドス君、どうするの?」

イワン「私はA様に最後迄食べてもらえない事に残念ながら幸福しか感じられません。そんな自分が今は憎いです。」

フョードル「とりあえず、様子を見て来ます。」

ぼくは階段を上がり、Aの部屋へ入ろうとしたが鍵が掛けられてしまったのか開かなかった。

フョードル「A、開けてくれませんか?」

然し扉が開く事はなかった。

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作者名:迷ヰ猫 | 作成日時:2019年7月16日 1時

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