山田さん家の箱入り息子

６ひとりじゃ… ページ8

涼介side



「もぉ〜！！侑李のばかばかばーか！！」



ほんとのことを言われて言い返せない自分が嫌い。




「友達くらいおれだって…」



友達なんて簡単にできないってことも知ってる。


だって既に経験済みだし。


遊びに誘われても宏兄に行ってはダメと言われて結局行けなかったし

みんなと共通の話題は全然なかった。


こんなつまらない奴と友達になりたいと思う人なんているわけもなく…


自分から話しかけてみたことはあったけど、みんな顔を赤くして何も言わず逃げられてしまった。


怒ってたのかな…話しかけんなって…





「あ、クラス…侑李と同じだ。」




一人でいろいろ考えていたらいつの間にか学校に着いていた。




「ねぇ！！侑李と一緒のクラスだよ！！…っていないんだった…」







ほらまたおれは侑李に頼ろうとしてる。






やっぱり一人じゃ何も出来ないんだ…







なんて自己嫌悪に陥りながら一人でとぼとぼと会場に向かい、



気付いたら式が始まって



あっという間に入学式も中盤に差し掛かってて…





「新入生代表、山田侑李。」

侑「はい！」





あ、侑李だ……



侑李に頑張ってねって言ってあげたかった。

いつも俺のことばかりだけど、きっと侑李も緊張してるよね…


だって、いつもの余裕そうな顔が、 今日はちょっとだけ険しい。




「馬鹿だなぁ、俺……」



ボソッと呟いた声は誰にも届いていなかったけど、

侑李の声を聞いたら何だか俺が安心しちゃって…




「ふぁ……」





入学式の後半は、ほとんど記憶がない。

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