雨の日の放課後。 ページ3
放課後のプロデュースが終わり、帰ろうとしていたのだけれど……
『えっ、雨……？』
天気予報では雨じゃなかったのに……結構降っている。
こういう日に限って折り畳み傘ですら持っていない。
最悪だわ……
雨が止むまで少し待っていようかしら……
待っていたら止むかもしれないし。
＊＊＊＊＊
何分経っただろう、全然雨が止む気配も無い。
諦めて帰ろうとした時、
「あレ、子猫ちゃん？……どうしたノ？」
急に声をかけられてふり返ると、そこには夏目くんがいた。
『え、な、夏目くん？どうしてここに……』
「どうしてって言われてモ……ここは下駄箱の前だシ、誰でも通るよネ。」
た、確かに……！！
「……察するニ、傘を忘れたのかナ？」
『うん、止むまで待っていようかと思ったんだけれど……全然止まなくて』
フーン、と言って、夏目くんは少し考えるような素振りを見せる。
『……夏目くんは帰らないの？』
そう聞くと、帰るけド、と言いながら鍵を渡された。
タグには“ゲー研”と書いてある。
「部室に置き傘をしてあるかラ、使いなヨ。ほラ、早く取っておいデ」
『えっ、いいの？でも申し訳ないわ……』
「困っている子猫ちゃんを放っておけないでショ。」
夏目くんは、困ったときはお互い様だシ、と付け加えた。
『……ありがとう、じゃあお言葉に甘えて。』
そう言って私は走り出した。
＊＊＊＊＊
『傘、ありがとう。あとはい鍵。』
「どういたしましテ。」
傘を取って来た後、鍵を返しながらふと、
こんな大事なものを私に預けてくれたのが何だか嬉しくて、思わず笑ってしまった。
「……また笑ってル」
『なんだか嬉しくて』
「そウ。」
結構遅くなってしまったし、雨が降っていることもあり、空は暗くなっていた。
そろそろ帰るように促そうか。
『えっと……じゃあそろそろ……』
「帰る方向、途中まで一緒だったよネ」
『えっ……そうなの？』
こうして、私は夏目くんと家の方角が同じであることを知った……
＊Aにも笑顔の魔法がかかったかナ？＊
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーパーソン
かっこいい先輩
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作者名：夢咲 桜空 | 作成日時：2019年2月6日 14時
