会いたい人は...５ (ページ30)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:46,559 hit

K ページ30

いきなり鉢合わせになるとは思っていなかった。
心の準備が出来ていなかった。

Aの事を思えば、このまま会わない方が良いのか...なんて考えていたはずの俺。

実際にAを目の前にして出てきた言葉は、Aにすがる言葉だった。

どこまでも情けない俺。

Aは、俺を拒絶していた。

当たり前の反応だと思う。

それでも...「あなたなんか好きじゃない」と言うAの言葉に衝撃を受けていた。

心のどこかで、Aは、どんな事があっても俺の事を好きでいると思っていたから

付き合う前の７年間の絆にあぐらをかいていたのかもしれない。

誰よりも強い絆を自ら絶ち切った。

自分だけが、絶対に切れる事はないと思い込んでいたんだな。

切れてしまった絆の修復する方法が見つからない。

いや...見つかってる。
俺には謝る事しか術がない。

話をしたいけど、
謝る事すら許してもらえなかった。

何を言っても俺の言葉は届かない...

これまでAにしてきた仕打ちが、自分に還ってきてるようだった。

「こっちも、もう、終わってる」

「これ以上、嫌いになりたくない。
もう、二度と会わない。さようなら。」

もう、声が出なかった...

バカな俺は、まだ現実を受け止められずにいる。

俺を残してAが去っていく。
そして、Aのそばには、クォン君の姿...

一緒にいたのは...クォン君？

又、お前がAを救うのか？
お前がAを慰めたのか？
何故、Aの窮地の時には、お前がそばにいるんだよ。

この期に及んで、嫉妬か...

自分自身に呆れてしまう

二人を乗せて去っていくタクシーを見送るしか出来なかった。