K ページ29
イタリアについた。
何ヵ月振りなのかも思い出せない。
自分がどれ程Aをないがしろにしてしまったかを感じた。
そんな俺を許してくれるだろうか...
許してもらえるよう謝るしか俺には出来ない。
真由美ちゃんとの電話を思い出していた。
Aの電話が繋がらなくなって、真由美ちゃんに電話をした。
Aからの電話の内容を話した。
Aが心配だった。
すぐにイタリアに向かうから、それまでAのそばにいてほしいと言うと、その心配はいらないと言った。
誰かと一緒なのか？
Aの交友関係を全く知らない...
Aの事を知ろうともしなかった自分を思い出した。
今、別れる別れないの話じゃなく、もう、終わっていたのかもしれない。
俺が終わらせてた。
やっと自分がしてきた事が、どういう事だったかを痛感した。
真由美ちゃんの言葉...
「Aは、ずっとあなただけを見てた。」
「あなたのために、自分を変えようと努力してた。」
「Aは、あなたを必死で信じようとしてた。」
それを知ってるから、
Aが出した結論に反対する気は一切ないと...
それでも、最後にきちんと向き合いたいと言うなら、Aに俺がイタリアに来る事だけは伝えてくれると言った。
俺は、俺自身の弱さで、Aと同時に真由美という友人も無くしていた事に気がついた。
Aのアパートまで来た。
電話は繋がらないので、居るか居ないかもわからなかったけど...
Aが行く場所は、ここしか分からなかったから
Aは異国の地で、困ったり、悩んだりした時は、どこで誰と過ごしたんだろう。
あれほど、Aの友人達に嫉妬しておきながら、今更のように、一人で思い悩むAの姿を考えると切なくなる自分に呆れる。
話を聞いてあげるどころか、悩みの原因は俺だ。
Aと会って、今更、「別れたくない」と言えるのか...言っていいわけがないと感じていた。
俺自身のために、Aを傷つけていた。
Aを傷つける事で、自分の心の痛みをはらそうとしていた。
このまま別れた方が、Aのためになるのかも...
アパートの玄関の前で、ドアを開ける事を躊躇っていた。
そんな時、開いたドア
Aの姿があった。
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作者名：yui | 作成日時：2017年12月2日 14時
