会いたい人は...５ (ページ3)

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Y ページ3

電車での記憶はない。

私、乗り物に乗ると睡魔に襲われるタイプなの。
昨日の夜は、色々考えちゃって、あんまり眠れなかったし...睡魔に速効KOされたみたい。

起こされてからは、起きなきゃ良かったと思うほど怒られちゃって...

これ以上、怒られたくなかったから、仕事モードにしたの。

普通の私は"ダメなおばさん"だけど、仕事モードに入ると、自分で言うのもなんだけど、失敗が少ない気がするのよね。

まぁ、あまりの違和感にクォンさんが謝ったけどね(笑)

でも、ちょっと言い返したら、ヘッドロックするし..女性の扱いじゃないのよ！

到着したバニョレージョは、想像以上だった。

〖天空の城ラピュタ〗のモデルになったのは知ってたんだけど...本当に空に浮かんでるように見えたの。

[死にゆく街]と呼ばれているけど、哀しみに満ちた感じはしない...

静かに滅びゆく事を受け入れているかのような静寂があった。

イタリアは、素敵な所が多くて、観光には困らない。だから、敢えてここを選ぼうとは思わなかったけど、来て良かった。

猫好きな私は、それだけで楽しかったけど、
すっかり忘れていたクォンさんの存在...

おそるおそる振り返ると、クォンさんもスマホで風景を撮っていた。

A【綺麗だね】

G【あぁ。スゲェよ...ここ。世界には俺の知らないスゲェ場所がいっぱいあるんだな】

A【うん。私も最後に来れて良かった】

G【最後？】

A【私、来週帰国するから】

G【やっと、遠距離終わりか】

A【...そうだね(笑)】

G【...】

A【...クォンさんは、いつ帰るの？】

G【まだ、決めてない】

A【そっか...又、会えなくなっちゃうから、イタリアいるうちは、沢山会えるといいね(笑)】

G【俺は、ずっと会いたい】

A【そうだね。私、来週末までいるから、時間はけっこうあるね】

G【ずっと】

A【ん？】

G【ずっと会いたい】

A【ずっとって？】

G【言葉通り...】

A【...ありがとう。嬉しいよ(笑)】

もう、気がつくしかなかった...

いや...本当はずっと知ってた気がする

気がつかないように自分に言い聞かせてた

クォンさんの気持ちに