会いたい人は...４ (ページ1)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:47,159 hit

過去ページ1

ケイのご両親に支えられながら傍聴席に座った。

間もなく、あの男が手錠と腰縄をつけられ、警察官に連れられて法廷に入ってきた。

体の震えが止まらない。

お義母さんが、やっぱりムリだから出ようと言ったが、断った。

裁判が始まり、
あの男の主張を聞くことになった。

あの男は、私を"運命の相手"だと言った。

毎朝、公園で交わした挨拶は、"愛の言葉"

サンドイッチを食べてくれたのは、
自分の愛を受け入れた証だと...

二人は愛し合っているのに、会うことが出来ない。

愛する二人を引き裂こうとするものは、誰であろうと許さない。

今現在も、私を愛してると...

そう言いながら、ゆっくり顔を動かし、

！！

あの男の視線が私に向けられた...

いとおしそうに見る目...

目をそらせない

狂ってる

吐き気を抑える事が出来ず、抱えられるようにして法廷を後にした。

法廷を後にする時にも"あの目"を感じていた。

こんな男に

こんな理由で

ケイが死んだのは、私のせいだった

いっそ、誰か私を殺してほしい

生きる理由も価値も見いだせない。

もう、死んだも同然なのかもしれなかった。

あの男に懲役刑がくだされ、裁判は結審した。

でも、もうそんな事はどうだってよかった。

私には、もう何の望みもない。

---------------------

ただ生かされてる状態のまま、
数ヶ月が過ぎた。

お義母さんとお義父さんが、部屋に入ってきた。

母【A、...日本に帰りましょう】

静かに言った。

母【ここにいては...、あなたはいずれ死んでしまう。】

母【ここにはケイの思い出がありすぎるから..】

母【Aには、生きていてほしい。大切な娘なんだから】

そういって、泣きながら抱き締めてくれたお義母さんとお義父さん

これまで、必死に支えてくれていたご両親の言葉...嘘とは思わない。

ありがとうございます

枯れ果てたと思っていた涙が頬を伝うのがわかった。

私は、静かに頷いた。