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日本に帰国した。
感慨深いものなど何一つない。
どこにいたって一緒なのだから。
帰国してから、実の母親と一緒に暮らしていた。
娘がこういう状況にあっても、ケイのご両親を悪く言うことに終始する母親に心底ガッカリした。
昔から、母親とは反りが合わなかった。
アメリカに留学したのも、それが大きな理由だった。
一人になりたい...
ふと、思い出したのは、ケイから渡されていたマンションの鍵...
それ以来、たびたびマンションを訪れるようになった。
そこで、カイトさんと出会った。
穏やかで、優しい話し方の人。
いつの頃からか、彼といるのが心地よく感じ始めていた。
毎日の日課のようにケイのご両親の悪口を言う母親。
いつも通り、黙っていたのだが、
「息子のせいで、娘がこんなになったのに、厄介払いして...」
この一言に、もう我慢が出来なかった。
「二度と戻らない。」
帰国して初めて発した言葉は、
母親と決別の言葉だった。
もう嫌だ、楽になりたい...
終わらせよう...今日
たどり着いたのは、マンションだった。
カイトさんが訪ねてきた。
私の様子を見て
「何かあったのか？」と聞いた。
何故気がついたのだろう
言葉も交わした事がない私の変化に...
カイトさんと目を合わせた。
暫く見つめあった後、
カイトさんは一言「ダメだ」と言った。
私は、何も言っていない
だけど、
彼がダメだと言った理由がわかってしまった。
この人も私を楽にしてくれない...
そう思った瞬間、
強引に抱き寄せられ
キスをされていた。
唇を離し、私の目を見つめながら
「俺が傍にいてやる」
そう呟いたカイトさんの強い視線に、
身動きする事さえ出来なかった。
その日から、カイトさんと暮らすようになった。
勿論、男女の関係ではなく
それこそ、保護者のように...
人に会うことも、人と話すことも出来ない私は、仕事に就く事も出来ない。
毎日〖Birds〗の準備や片付けを手伝って過ごしていた。
ケイが亡くなってから一年が経った。
ケイの一周忌のためカイトさんとアメリカに向かった。
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作者名：yui | 作成日時：2017年11月20日 14時
