会いたい人は...４ (ページ3)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:47,187 hit

過去3 ページ3

ケイのご両親との再会には、胸が熱くなった。

ケイの死から一年も経ってしまった事に愕然ともした。

ケイの供養のため、沢山の友人達が集まってくれた。
その中にはホテルの支配人の姿もあった。

妻としてお礼を言わなければならなかったが、人に対する恐怖心から、部屋から出る事は出来なかった。

そんな私の元に支配人が訪ねてくれた。

お義母さんに付き添ってもらい、話をする事が出来た。

支配人は、ホテルで起きた事件だった事を詫びてくれた。
そして、生前ケイが私のコンシェルジュとしての才能を高く評価していたとして、復帰する意志がないかを聞かれた。

その申し出は、丁重に断った。

正直に、対人恐怖症や摂食障害である事も告白した。

それでも、支配人は、日本のホテルを紹介すると言って譲らず、いつになっても構わないから、連絡してほしいと言って、帰っていった。

そこには、ケイをヘッドハンティングしたホテルの名前が記されていた。

帰国してから、支配人から託されたメモを気にする自分に気がついていた。

その気が無いのに、いつまでも引っ張っている事の後ろめたさもあった。

それでも、動き出すには数週間の時間がかかってしまったが、やっとメモに書いてある連絡先に電話をする事ができた。

先方は、名前を言うだけで話が通っているようだった。

すぐにアポイントメントがとられ、電話で断るだけのつもりが、翌日行くことになってしまった。

カイトさんは、呆れて笑っていたが、
「行く気があるなら、ついていってやるけど(笑)」
優しく背中を押してくれた。

カイトさんに、ホテルのロビーまでついてきてもらった。
フロントでは、カイトさんがついていてくれたので、自分で話す事が出来た。

すぐさま女性が現れ、私を案内してくれる事に。
カイトさんを見てしまう私に、

「俺は、ここまで(微笑)」
「ここで待ってるから、行ってこい(笑)」

そう言われても、何度も振り替えってしまう私に「早く行け(笑)」と口パクで送り出した。