波間のブルー(ss)二章完(移行へ) (ページ9)

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34you ページ9

「散らかってるの？本当の翔の部屋は」
「ま。突然の訪問客はお断りだよね…水？酒？」
「翔と同じ方」
「んー…俺は、こっちかなー」

冷蔵庫から出された飲み物は、ミネラルウォーターだった。

「でも、残念。一本しかありませーん」
「あ。意地悪！」

蓋を開けてゴクゴクと飲み出す。
不平を唱える私の前まで来ると、翔はそのボトルを差し出して低い声で言った。

「一緒に飲みたい？」
「…うん」
「いいよ」
「あれ？」

いいよと言ったのに、ボトルは遠ざかった。
一人用の椅子に座る私を、上から覆うように彼の腕と顔が近づく。

「やっぱり、まだ飲ませない」
「ん！な…」

最初から口の中に入り込む彼の舌は、水で冷やされて冷たく感じた。
そんなにも先を急ぐの？
早速体の上を滑っていく手が、少し落ち着かない。

「待って！」
「無理」

首を甘噛みしながら、ワンピースの裾が軽く上げられていく。

「やだ…ほんと待って？」
「…何だよ」

太ももに触れかけた手を抑えると、彼は不満気だった。

「汗かいてるし。シャワー浴びたい」
「一緒だったら許すけど？」
「…翔ってそういう人？」

微笑で返して、さっきより穏やかなキスを落としてくる。
こういう時、きっと本性って一番出るもの。
彼が主導権を握りたがっているのは明白だった。
私は大人しく従うべきかを迷った。

どうせこれっきりの関係。
そして、彼を使ってあの事務所を陥れるの。

…さぁ。どこまで楽しんでやろう？