波間のブルー(ss)二章完(移行へ) (ページ8)

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33you ページ8

私が彼の言葉に頷いて以降、彼は言葉を発しない。
舟が桟橋につくと、彼はすぐ先に降りようとした。

「待って。揺れるから私が先に」
「…ちょっとは紳士アピールさせてよ」

自分の発言におかしく感じているの？
何とも説明し辛い笑い方を添えて。
彼は決してスムーズとは言えない方法で桟橋に足をつける。
その恰好は可笑しかったけど、私は笑わないでいた。
そしてすかさず決めた顔を付けて手を伸ばしてくるから、大人しく彼に体を預けた。

「ありがとう。すごく紳士」
「ばかにすんな」
「ふ！本当だってば」

自然と手は繋いだままだった。
これからどこに向かうとも何も話しはしなかった。
それはさっき、もう終わった件だから。
「そばに居て」と言う彼はもう、おかしな混乱から解放されてたように見えたから。

「あーごめん散らかって…ねーな。そっか」
「何？」
「自分の部屋の感覚だった。何か飲む？」

ドアを開ける彼は、おかしな独り言を言った。
綺麗に清掃の行き届いた、この辺りでは一番高めの部屋。
私は、この場所に足を踏み入れるのは初めてだった。
こんな所に泊まる事、この島に来て最初から、一度も必要無かったから。