波間のブルー(ss)二章完(移行へ) (ページ7)

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ずっと一緒に居るのはきっと無理なのに。
そもそも、こいつはそんなの望んでいない感じしか見えないし。
だからお互い、この一日、二日だけの…
割り切った、一時の関係。
それが一番良いんだろうに。
割り切れない何かを抱え始めた俺は、まだ迷いが生じる。
もう…一緒に居られる時間は限られているのに。

「この島の人は、亡くなったら海に散骨するの」
「あ。そういう…あぁ、なるほど」
「帰りたいよね。みんな誰だって…ふるさとに」

俺がまだ言ってみれば邪かもしれない事を考えている時だって。
Aはすっかり自分の世界にいる。
そして、彼女は寂しそうに笑った気がした。
俺はその視線を外さずに、手を強く握り返した。

「お前の故郷は？」
「…ここがいいな」
「え？」
「私も。死んだら、ここに帰りたいの」

ザザン、波の音が繰り返し夜に響いていく。
少し強くなってきたんだな。

「翔は帰らないとね。自分のふるさと…日本に？」
「…ずりーよ」
「ん？」
「そこからそういう話に持ってく？」
「どうして？本当の事でしょう」

自分はここに残る。
お前は日本に帰れ。
結局、そういう話なのか…

「そうだな。帰るよ、俺は」
「うん」

頷いて海の遠くを見つめるAの横顔が、綺麗だった。

「帰るから…それまでずっと、そばに居てくれないか」

俺の中の迷いが、その瞬間無くなった。