波間のブルー(ss)二章完(移行へ) (ページ19)

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44you ページ19

石鹸を泡立てながら、笑いが止まらなかった。
翔は「ちゃんと教えろよ」とまだ文句気味に言う。
私は泡立てたものを、彼の背に乗せた。

「ご期待に沿えそうなのと沿えなさそうなの、２つ持ってる」
「そりゃ…沿える方向ので願いまーす」
「こんな事までしてるのにね？今さら水着なんて…」
「…正直。これは想定外で動揺中」
「あれ。そうだったんだ？」

一緒に入っているんだから、もっと何か仕掛けてくるのだと思っていた。
そのせいかな。
私には彼の様子が物足りなくて…

「こっちも洗おうか？」
「ばっ！か、こら！」

調子に乗ってその手を前に滑らせたら、随分と焦った声。
私には、彼の態度こそ想定外だった。
私の手首を掴んで、動けないようにして。
だから私は、そのまま彼に後ろから抱き着く形におさまった。

「…ツルツルする」
「あー！そんな風に動くな！…お前ねぇ。やめなさい？そういう事は」
「ふふ…喋り方おかしい」
「もういいから。ほら、あっち向け。洗ってやるし。どうだ紳士だろ」
「まだやってたのね？それ」

その言葉には反応がなかった。
彼はくるりとこっちを向くと、軽いキスを一度だけ、押し付けるように交わして。
思わず笑った私の肩を掴んで、黙って回転させた。
私はおとなしく、背中を洗って貰ったけど。
そんな事が、ただ楽しく思えて…
その間ずっと、自然に笑みがこぼれていた。