波間のブルー(ss)二章完(移行へ) (ページ17)

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42you ページ17

眠り王子…
この人は本当に、黙って寝ているとその言葉が似合うかもしれない。
あの子も、こんな風に穏やかな顔でよく眠っていた。
この島の…本当に王子様になっていたかもしれない子。
…バカね。
櫻井翔とあの子を重ねて見たってしょうがないのに。

「…翔？寝てる？」
「寝てる」
「なんだ」
「何だよ」
「ふふ。寝たふりか本当か、全然分からないから」

なんだ…今度は起きていたのね。
翔は閉じていた瞼を動かして、視界に私を入れる。

「もう無理。今日は」
「そんな事何も言ってないから」
「あっそ」
「シャワー。浴びる？」
「ん…ねみぃ…お前入ってきてもいいよ」

カーテンの隙間から、うっすら空が明るみ始めているのが見える。
満たされた顔。
まるで今にも呼吸を忘れそう…
再び目を閉じて、彼はもう喋らなくなった。

「じゃ…入ってこよっかな…」
「やっぱ待て」
「ひゃ！だからー…寝たふりは驚くから」
「やっぱ…待って」

ベッドから出ようとしたところを腕を掴まれた。
振り返れば、彼は縋るような瞳で…
掠れた声で呟いた。

「ごめん。俺うぜー…けど…離れたくない」
「…じゃぁ。一緒に入る？」

私が思わずそう聞くと、小さく頷く。
それは、まるで子供みたいだった。