波間のブルー(ss)二章完(移行へ) (ページ12)

今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:21,294 hit

37 ページ12

背中に直接触れると、Aの体が微かに動いた。

「敏感？」
「くすぐったいの」
「へぇ」
「本当だから」

強がり？
それもすぐに終わると思うけどね。

キスをしながら残りのファスナーをおろす。
ワンピースを肩からスルリと抜けば、次はもう下着だけだった。

「軽装だね。脱がせるのが楽でありがたい」
「もう…こんなつもりで着てきたんじゃないから」
「本当に？へぇ…」
「っ！」

やっぱり、敏感なんだろ？
まだ布の上から膨らみに触れただけ。
それでもAは体を揺らして、俺にしがみついた。
撫でようと髪に触れたら、留めている金具に当たる。
パチン、指で弾けばAの髪がふわりと肩におりた。
…あぁ。いい香りがする。

「…綺麗だな…A」

つい、肩を掴んで一気にベッドに押し倒していた。
Aの体を間に入れて上に乗る俺を、じっと見上げる。

「あ。それ」
「え？」
「大事…だから」
「あぁ。床の淵に置いていい？」
「うん」

髪留め…
何？大事な…男から貰った？
そこに引っかかって。
床に置いて一瞥すると、自然と言葉が出ていた。

「壊れたら…俺が新しいの買ってやるよ」
「…ん」

代わりは無いとでも言いたそうだな。
それとも今日明日だけの俺に貰う義理は無い？
Aの表情は、俺の気持ちをざわつかせた。