4週間目 ページ25
俺は、
俺は、あまり寂しくなかった。
いつだって、お前と一緒に居たから。
でも、お前は俺と一緒にいなかった。
ずっと一人でいて、変なやつにストーカーされて、だけど誰もお前を助けてくれなかった。
俺だって、辛そうなお前をただ見ているだけだったわけだから。
(....蝉だぞ、俺は)
『え....?』
(蝉なのに、家にいていいのかよ)
.
.
『.....うるさすぎる蝉は、中にいないと迷惑でしょ。』
久しぶりに見たその笑顔は、俺が引き出したってことでいいんだよな。
んだよ、
.
.
(.....うるせ、)
俺の片手が無造作に崩したAの髪。
『やめてよ、もうっ、ほんと子供!』
後ろの鯨は、もはや気配を消していた。
鯨は、いつまでもほんとに出来た奴だ。
一緒に死んだのが、こいつでよかったと思った。
.
.
『.....帰ろ。』
『あのオンボロ家。なんも変わってないからさっ』
髪を直しながらAは言った。
ほんと、お前なんも変えねえの。
俺のナイフとか、一回も触んねえし。
.
待っていてくれたのかもしれない。俺のことを。
帰ってきた時、いつものように迎えるために。
.....なんて裏をよんでみるけど、こいつの頭はそんな単純じゃねえってことを俺は知ってる。
(お前がオンボロ家だなんて言える立場かよ)
『当たり前じゃん。一年間、あの家を守ったのはこの私。』
いつだってずうずうしくて、頑固で、それなのにたまに素直で。
(そのずうずうしさ、直せよ)
『蝉のせいだからね、これは』
(ざけんな、俺はこの一年__________っ)
『ん、なに?』
髪を直していた手は、いつの間にか俺の手を握っていた。
.
(.....いや、なんでもねえ)
....俺はこの一年間、ずっとお前といたからな。
ほんとに俺のせいかもしれないと思うと、それ以上は言えなかった。
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さくらんぼ - 良い作品でした。私も、グラスホッパー大好きです！蝉が亡霊となって登場するものもありだな〜と思いながら感動しながら読ませて頂きました。ありがとうございました。 (2018年11月4日 21時) (
レス) id: f717513e5e (このIDを非表示/違反報告)
RIN - もう、涙が止まりません笑このサイトでこんなに泣いたことはありませんね。とっても素敵な作品でした。これからも応援してます。このお話たまに読みに来るかもしれないです笑 (2018年10月20日 23時) (レス) id: a3eb9dc6e0 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃 - ティパ二さん» もう泣きぱなしでです (2018年10月7日 0時) (レス) id: 640833d8ad (このIDを非表示/違反報告)
ティパ二(プロフ) - motimotiayuu___さん» ありがとうございます！とても嬉しいです！！ (2018年2月11日 20時) (レス) id: 1b206bf4f7 (このIDを非表示/違反報告)
motimotiayuu___(プロフ) - 大号泣でした！ とても、感動しました！ (2018年2月10日 14時) (レス) id: 36fb33f855 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ティパ二
| 作成日時：2015年12月28日 22時
