Ｔｏｐａｚ (ページ22)

今日:1 hit、昨日:23 hit、合計:412,548 hit

ぼくのもの＿7 ページ22

.

侑李は“いいこと”と聞いて、目を輝かせる子供ではなく……なに？と首をかしげる。

涼「皆は知らないし見えないけど、俺たちの側にはお母さんがちゃんといるよ。あの家にも一緒にいるんだよ」

俺は会ったんだもん……お母さんに。

侑「どんなひと？」

涼「すっごく優しくて面白い人。だから家にいると楽しいでしょ？それはいつも見守ってくれてるからなんだよ」

侑李には想像でしかないから、いまいちな反応をされたけど………ダメじゃないことはわかってくれたかな。

俺たちは少し軽く考えていたみたい。
気づいてあげられなくて…ごめんね、侑李。

涼「もしまた不安になったりしたら、俺でも慧くんでも大ちゃんでもいいから、教えて？」

侑「うん」

涼「……遊ぼっ！ブランコ押してあげようか？」

侑「ゆうり、おにごっこがいい！」

俺は自ら鬼役をかって出て、元気に駆けずり回る侑李を追いかけた。

久々の運動、体温が上がって着けていたマスクをはずした…………そのとき。

落ち着いていた突風が起こり、砂埃が舞った。

走って息が上がっていた俺はそれを吸い込んでしまって……

涼「っ……ﾋｭｯ…ｹﾎ、ｺﾞﾎｯ……」

侑「……りょおすけ？」

やっと笑ってくれたのに……不安な顔をさせちゃダメだろ。

念のために持ってきた薬はベンチに置いたままの鞄の中。そこまで行ければ………

涼「ゆ、り…ﾋｪｯ……ごめっ…ｺﾞﾎｯ…ん、ひとりで…遊ん…ｯ……」

途切れ途切れの言葉を侑李が理解してくれたのかまで気を配れる余裕はない。

しゃがみこむ俺の目の前に小さな靴が見えた。

侑「りょおすけ、おくすり！」

小さな手に俺の鞄を持つ侑李。

覚束ない手で吸入器を取り出し必死に吸い込んだ。

涼「…っは……はあ…ｯ…」

さっきまでは甘えん坊で……少し前までは俺が発作を起こすと泣いていたのに……

侑李の成長は随分と早いみたい。

侑「りょおすけ……だいじょぶ…？」

大「…あ、いたいた！侑李～！」

侑「だいき！りょおすけがくるしいの！」

大「え？…っ！」

多少ましにはなったんだけど……苦しいのは事実。

帰りが遅いのを心配して来てくれた大ちゃんにおんぶされて家に帰ることになってしまった。