お兄ちゃん、いかないで【鬼滅の刃】

19話 ページ19

善逸君の同期の子たちはとても優しくて、すぐに打ち解けた。


その日の夜、私は善逸君と話をした。

A「…善逸君、あのね、お兄ちゃんが来たの。」


善逸「…え…」


A「お兄ちゃん、鬼だった。
私のことたくさんぶって、朝にはもういなかった。」


善逸「…それで、そんなに傷だらけなの。
本当に許せないな、あいつ…
…傷は痛む？アオイちゃんに薬塗ってもらったんだっけ。」


A「うん。痛みも、ずいぶん引いたよ。」

大丈夫、と言いかけた時、善逸君は私をそっと抱きしめた。


善逸「…ごめんね…俺、守れなかった…
兄貴のことは、絶対に俺がどうにかするから。
もう辛いことはないから。
……こんなに傷だらけで…
顔も殴られたの…？
…かわいそうに……」


頬の殴られた痕に、善逸君はそっと口付けた。

驚いた私を横目に、善逸君は顔を真っ赤にして私の首に顔を埋める。

首の傷痕に擦れて痛いけど、善逸君の匂いが胸いっぱいに広がる。


安心して、涙がこぼれた。

最近、泣くことが多い。


善逸君に抱きしめられて…私…


A「…幸せ…よかった…わたし…」


善逸「今日は、い、一緒に、寝る？
何もしないから！ほんとに！」

A「……うん…そばにいて…」






善逸「…よく眠ってるなー…」


泣きながら眠ってしまったAの頭を撫でながら呟く。
頬に伝う涙を拭いてやり、布団を肩までかけてやった。


どれだけ痛い思いをしただろうな。

小さい頃から、兄貴にずっと殴られてたってじいちゃんからきいた。

俺が出会った頃は、すごく仲の良い兄妹に見えたけど、昔はいつも手をあげられていたって。


それでもAは兄貴のことが大好きだったんだ。

なのに、こんなに想ってもらってるのに兄貴は…

じいちゃんの想いも、Aの想いも踏みにじったんだ。


絶対に許さない。
許しちゃいけない。


Aは悲しむかもしれないけど、俺は、絶対に兄貴を…



獪岳を、殺してやる。

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