15話 ページ15
悲しい。
悲しくて悲しくて仕方がない。
先生が出て行って、雨が強くなり、雷が鳴りっぱなしだ。
縁側にも雨が振り込んで、私はもうびしょ濡れ。
寒いし、悲しいし、寂しい。
私はたくさん泣いて、せっかくお天道様のにおいのやわらかい洗濯物は雨でだめになってしまったし、動く気にもならない。
A「……先生…やだよお…」
どうしてこんなに突然いなくなるの？
お兄ちゃん、どうして鬼なんかになったの？
どうして会いに来てくれないの？
迎えに来てくれるって言ったのに。
神様お願い、先生を連れて行かないで。
お兄ちゃんを人間に戻して。
A「…善逸君…たすけてよう…善逸く…」
「おうおう、まったく貧相だなあオイ」
後ろで声がして、振り向こうとした瞬間、体がふわりと浮いて、障子に叩きつけられた
A「きゃあっ…」
「なんだよ。びしょ濡れじゃねえか。」
体中痛い。
畳にどんどん水が広がる。
縁側の男の人は、ズカズカと草履のままこっちに向かってくる。
寒さと恐怖で震えがとまらない。
先生、善逸君、助けて。
私はきゅっと目を瞑って体をこわばらせた
A「…お兄ちゃん…助けて…」
目の前の男の人は動きを止め、舌打ちをして畳に刀を叩きつけた
「お前はいつもそうだよな、助けて、助けてって！
自分でどうにかしたことが一度でもあったかよ！
なあ！！ア！？」
髪を掴んで引っ張り回される
すごくいたい。
昔もよくこんな風にされてたなあ。
この人の声、すごくドスがきいてるけど、きいたことがある気がする。
なんだか懐かしい
「なんとか言え！このカス！！」
突然頬を平手打ちされ、悲鳴を上げると、それが気に食わなかったようで、畳に頭を叩きつけられた
すごく痛くて涙がとまらない
先生助けて。帰ってきて…
「チッ、口もなくなったのかよ、不細工
お前なんか生きてる価値もねえ。なんのために生きてるんだよ。誰かを救えたことはあったかあ？誰かの役に立ったことはあったかよ
お前なんか腹の足しにもならねえぜ。」
髪を掴み上げられ、顔を近づけられた。
暗くて見えづらいけど、鬼だ。
瞳孔が猫みたいに縦長で光って、牙がある。
爪が食い込んで痛い。
血の匂いがする…
「なんだ、兄貴の
心臓がどくん、と脈打った。
嘘だ、本当に鬼になったなんて。
私の大好きなお兄ちゃん。
こんなに怖い顔をしている。
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pocky - 面白い！とっても素敵な作品ですね！！ (2020年6月29日 22時) (
レス) id: 67e63b3be0 (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - 読んでる時の感想→「え？え？なんで優しいお兄ちゃんの獪岳が私(夢主)殴ってるの！？作者さん嫌い…いや嘘だけどさ、本当は大好き！！でもどうしてこうなった？あ、最後の獪岳の言葉身に染みる」って感じでうるさかったです…素晴らしいですね(さっきの言葉どうした) (2020年3月23日 2時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
実弥LOVE(プロフ) - 最後の獪岳の一言で私の涙腺が崩壊した。 (2020年2月24日 23時) (レス) id: 3871cda528 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - めっちゃ面白いえ、本当に面白いんだけど！( ﾟﾛﾟ) (2020年2月20日 10時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 続きが見たいです！！！ (2020年2月18日 12時) (レス) id: 35ab4fcffb (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2020年2月16日 2時
