お兄ちゃん、いかないで【鬼滅の刃】

8話 ページ8

獪岳「…泣いてもいいんだからな。
俺は、お前の兄ちゃんだから、お前が泣いてたら抱きしめて、撫でてやるから。」


Aはぽろぽろと涙をながし始めた。

俺は驚いて動けなくなったが、妹はそんな俺をぎゅっと抱きしめた。

獪岳「お、おい、今は汗かいてるから…」

A「いいの。大好きお兄ちゃん。」


鼻をすすりながら胸に顔を埋める妹に、敵わないな、と思いながら抱きしめ返した。








出発の時はやけに早く来て、朝から赤飯だのおせち料理だの縁起物の料理がちゃぶ台を埋め尽くすほどに出てきた。

荷物もAと善逸が2人で何度も確認して持たせてきた。

切り火のために火打ち石を握って泣きそうな顔の妹の頭を撫で、先生に妹を頼みます、と言って背を向けて歩き出す。


A「おにいちゃん！」


勢いよく背中に飛びついてきた妹。
いつになく泣きじゃくっている。


A「帰ってきてくれるよね、迎えに来てくれるんだよねぇ…私待ってるから！獪岳お兄ちゃんの妹だもん！強いお兄ちゃんの妹は強いんだもん！」


うわあああん、と声を上げて泣き出した妹をなだめ、背中をとんとん、と優しく叩いてやる。


獪岳「兄ちゃんは強いからな。先生が教えてくれたことは一つも無駄にしねえ。強くなって、絶対に迎えに行くから、それまで、先生の言うこと聞いていい子にしてられるな。」


嗚咽しながらこちらを見上げ、涙を強引に拭くと力強く頷いた。

「よし！」と頭を撫でてやるといってらっしゃい！と見送ってくれた。


絶対に選別を生き抜いて、柱になってやる。
俺は強いんだ。
絶対にやれる。

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