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仙石君の姿が見えなくなって、ゆうた君がため息をついた。
…知ってるよ。本当は今日、レッスンだったのに逃げてきた、って。
「…、ゆう、」
「ゆうたく〜ん!」
「うげっ、アニキ」
私の声に被せて、ひなた君が走って階段を登ってきた。
…いつもならひなた君の鳩尾に肘を入れてるけど、今日は辞めておいてあげよう。
いつも通り、私も巻き込んでゆうた君を抱きしめようとするひなた君を避けて、先に避けていたゆうた君の背中に隠れる。
「抱きついてこないでよ……。隠れんぼをしてたわけじゃないし、名人でもないから」
「…いつまでも練習室に行かなかったから、探しに来たんでしょ?」
「うん。もしかして忘れちゃってるのかな〜とも思ったんだけどね。その様子じゃ、ゆうた君もちゃんと覚えてくれてたんだ」
私の質問に、ひなた君は首を上下させた。
その表情は、さっきより少し真剣。
そんなひなた君に、ゆうた君は眉間にシワをよせて言葉を紡いだ。
「覚えてた上で逃げたんだよ。アニキとのレッスンを嫌がってAも連れて逃げたの。嫌な『弟たち』でしょ」
「なんで私も一括りにしてるの……?」
「弟たちって強調しなくても、2人とも可愛い俺の弟と妹だよ」
…そんなニッコリした笑顔浮かべなくても……。
そう思って少し引いていると、今のより少し口角が下がった笑みを浮かべて、ひなた君は言葉を続ける。
ゆうた君は反抗期で、何にでも逆らってみたくなる年頃なんだ、と。
それでも1人はなんとなく嫌だから、私を連れて行ったんだ、と。
逃げられても、こうして探せばいいんだ、と。
「ゆうた君、一緒にレッスンしよう。俺とゆうた君はふたりでひとつの2winkで、そこにはAが必要不可欠なんだから」
「うん…。アニキに見つかっちゃったし、今日はレッスンするけど。変なメニューだったら途中で帰るからね」
「大丈夫…一応私も一緒に考えたし……。2人だからこそ出来るの、たくさん考えたよ」
少し声色が暗くなったゆうた君に、私が答える。
レッスンのメニューだって、事前に考えたものを全部やらなきゃいけないわけじゃない。
どれか1つでも気に入るものがあれば、それだけをやる日があったっていいんだから。
「だといいけどね……。溜息をつくと幸せが逃げるって言うけど、無性に溜息がつきたい気分かも?」
ひなた君に丸め込まれた感あるから、その気持ちは分かる。
昼休みはあと20分。
私たちは、なるべく急いで練習室に向かった。
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蒼乃(プロフ) - 零さん» コメントと共に優しいお言葉ありがとうございます！一年半更新を止めてしまうことになり申し訳ないですが、精一杯頑張ります！ありがとうございます！！ (2022年6月2日 18時) (
レス) id: c9e288890e (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - こんにちはコメント失礼します。 初めの方から読んでいた一読者です。無事合格出来ることを祈ってます。頑張って下さいね☺️体調等には気をつけて (2022年6月2日 18時) (レス) @page38 id: 46e0494878 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼乃 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec2/
作成日時：2020年9月11日 22時
