傷が導くカケラ (ページ9)

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和也side

俺の頭の中で

翔さんが発した言葉が響き渡る

和「・・・なに言ってるの翔さん？誰って・・・？あ、長い眠りのせいでボケたとか？」

俺は冗談っぽく語った

でも翔さんは笑わないで

こちらを不思議そうに見ていた

普段の翔さんなら笑うのに

だから・・・これは本当に

和「分からないの？俺らの事も、自分の・・・事も」

俺の問いに翔さんはゆっくりと頷いた

・・・神様

どうしてこんな悲しい思いをしなければいけないの

ずっと待って

待ち望んだ再会がこれって

あまりにも酷すぎる

翔「・・・先程の方にも同じことを言ったら泣いてしまって。もしかして貴方達は僕の大切な人なのですか？」

自分の事なのにどこか他人事のような翔さん

彼の目にはいつもの

大野さんが大好きなつぶらな瞳はなく

ただ真っ黒い目が俺らを貫いた

・・・だから潤くんは泣いていたんだな

今なら貴方が泣いてこの部屋を飛び出した気持ちがわかるよ

俺も今、その行動をしそうな衝動に駆られていた

でも、そんな俺をたち止めさせてくれたのは

紛れもない大野さんだった

智「・・・初めまして・・でいいのかな？うん。そうだよ。俺らは翔くんにとって大切な人であり同時に俺らにとっても翔くんは大切な人だよ」

翔「大切・・・？」

智「そう。詳しいことは集まってから話すね」

大野さんは笑顔でそう答え

来客用の椅子に座った