【WT】黒い瞳に光を映して (ページ26)

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怯えた様子など全く見せず、目の前の彼を落ち着かせようと声を掛けるが、問答無用で再び襲い掛かって来る。

kr「シャークん、殺したら駄目!!」

反応に遅れた私の体に剣が付きそうになった時、一部始終を見ていたきりやん様が彼を呼び止めた。

sh「……命拾いしたな。」

ry「……状況把握をしに行って来ます。」

シャークん様は舌打ちをすると同時に剣を収めると食堂から走り去り、
先輩はきりやん様が声を掛けても聞く耳を持たず、彼の後を追って居なくなってしまった。

kr「何がどうなってんだよｯ…!!」

噂程度なのではっきりとは分からないが、WT国の君主様達はそれぞれ役割分担をしていて

きんとき様とNakamuは国の管理を

broooock様とスマイル様は外交と参謀を

きりやん様は医療を

シャークん様はこの国の兵士達を率いてこの国を守っているらしい。

きりやん様は男だが、医療に特化したお方なのでシャークん様や先輩のように鍛えていないだろう。

こういう時に何も出来無い自分を攻めているのか、強く握り締めている手からは少し血が流れていた。

『きりやん様、それ以上手を傷付けてはいけません。』

医者にとって手とは人を救う為に必用なもの。

『医者が怪我してどうするんですか。』

そっと彼の手を自分の右手の上に乗っけ、常備していた包帯を取り出して応急処置をした。

kr「……ｯごめん。」

『謝るなら、最初っからやらないで下さい。』

無意識に手当をしていた私はハッと我に返り、ルベリア国の先輩…アザゼルに言われた言葉を思い出す。

az「情報を抜き取りに行くのは良いが、我が国王は今のWT国の君主達を殺してその国を手に入れたいらしい。」

『っは、なんでそんな面倒な事を……』

az「情報の方が面倒だと俺は思うがな。」

『じゃあ、もし…チャンスがあればやりますよ。』

az「絶対だぞ??」

そういえばそんな事を言われたな…

ここに来た目的は情報なんかが目的じゃない。
ただ、抜けて着たかっただけ。

_______先に逃げた助手…アオと一緒に居たかっただけ。

置いていって欲しくなかっただけ。

ao「俺等、家族っすよね!?」

だから、追い掛けただけ。

国もアザゼル先輩も_______________何も関係ない。

ただ、一緒に居たかっただけなんだから。