・ ページ9
その日の撮影が終わり、マネージャーに開けていい？と確認を取れば二つ返事でOKとのことだったので焼肉を奢り、帰る前にピアッサーを買いに行った。アイスもせがまれたけどかわいい弟のためだし、好きなの買いなと目線を逸らすとわりかし高いアイスを渡してきやがった。同じやつのチョコ取って、と理人に言えば「またチョコ？ほんと好きやね」と呆れたように言われる。好きなもんは好き、仕方ないなんて回答になってないような返事をしてレジへ向かう。
「すぐ開ける？」
俺の家に着いてアイス片手にピアッサーの裏とにらめっこしている理人は思ったよりも適任だったようで。
「ん、今開けて」
「ぁ、今？」
食べかけのアイスを机に置いてソファから立ち上がると力任せにピアッサーの封を開け、またもアイスを手に取っては俺の耳に当てた。
「なにしてるん」
「神経鈍くなるらしい。」
興味あるような無いような。そんな間抜けな返事をして背を向けていた携帯に目を向けると丁度洸人からの連絡。「洸人と連絡取るんだ。」角度的に理人からも見えたようで物珍しそうに言われる。
「滅多にとらんね、」
そう言って通知を開くと「開いた？」の4文字。洸人が緊張してるかも、なんて理人に言えば何でだよ、と笑う。画面を見せると俺の携帯をいじり、その後着信音が聞こえる。
「なに、まだ開けてないの。」
開けてない、もう開けるとこやけど。と返事をしてビデオに切り替えると風呂上がりであろう洸人の顔も映る。耳たぶだからそんな冷やさなくてもいけるだろ、という洸人にAの体に穴開けるのは緊張するもんですよ。なんて返すもんだから吹き出してしまう。
「じゃあ開けるで〜Aさん。」
洸人も見ててねーと手を振るとドライヤーを始めた洸人。音が怖いんじゃないと煽るように言う理人に同調しておく。
バチン、と鈍い音を点てたピアッサーは耳から離れ特徴のないシルバーのピアスがついていた。開いたよーと手を振ると目を細め、おーなんて適当な返事をする。また明日、と電話を切ると「何やったんや」とピアッサーを捨てた理人が言う。
「理人〜写真撮って〜フリーポスト上げる」
そう言って携帯を渡せば数枚写真を取ってすぐに返ってくる。なんて書こうかな、どれ上げようかな、どんな反応するかな、まだ起きてるかな。
「Twitterあげるときって緊張しやん？」
「マジで、わかる、けど多分良い反応貰えると思う、リア恋質感？ってやつだと思う、いまの」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 261人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お米(プロフ) - お話素敵でした！これからも楽しみです！あとオリ/フラついてしまってます...💦 (12月26日 14時) (
レス) @page1 id: 1a788f23e1 (このIDを非表示/違反報告)
173(プロフ) - コメントありがとうございます…！お待たせしてしまい申し訳ございません、楽しんでいただけますと嬉しいです¨̮⃝ (12月20日 9時) (レス) id: e6330a4b68 (このIDを非表示/違反報告)
マナ(プロフ) - お話拝見させていただきました！本当に面白くて好きです更新楽しみにしてます！ (12月14日 17時) (レス) id: 4a9e06878c (このIDを非表示/違反報告)
173(プロフ) - コメントありがとうございます。とても励みになります…！ぜひこれからも拝読頂けると嬉しいです。 (12月1日 9時) (レス) id: e6330a4b68 (このIDを非表示/違反報告)
みに(プロフ) - なんかもうめちゃくちゃ良くて最高でした…また更新されるのが楽しみですᐡ ߹𖥦߹ ᐡ (11月30日 19時) (レス) @page13 id: cd7c74c237 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：173 | 作成日時：2023年11月27日 8時
