少しくらい、俺のこと見てくれてもええんやで？〈3〉【宮治】

相談相手 ページ39

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Aside





たとえば、人が散々泣きはらせて目元をパンパンしている時に、テンション高めで電話をかけてこられたら、人はどうするのだろうか。


ベッドの上、スマホの画面に表示された名前を見ながらそんなことを考える。




私の場合、こうだ。





徹『はあい！Aが大好きな、徹お兄ちゃんだよーー！』





────プツン。



通話終了の文字が画面に表示されたのを、死んだ魚のようであろう目で見つめた。



我ながら、なかなか冷たい対応だっただろうか。


......いや、うちの兄にはちょうどいいくらいだろう。


だって、ほら。





────プルルル...





予想通りの兄からの再着信に、ため息をひとつついた。


そう、私の兄はこれくらいではめげない。



仕方なしに再び通話ボタンを押してみれば、
先ほどの行動に対する文句が耳に届く。





徹『ちょっと！え？ひどくない！？久しぶりのお兄ちゃんだよ！？』



A「......なに。」



徹『そろそろそっちも決定戦でしょ？お互い激励の言葉を交わそうと思ってたのに！』



A「...徹兄は別として、私が戦うわけじゃないじゃん。」





相変わらず通常運転の我が兄、及川徹。


そんな彼に半ば呆れながら応答していると。





徹『......なんか、いつもと声違う？なんでそんな鼻声なの。』



A「......。」





なんで、普段ちゃらんぽらんなのに、こんな時は鋭いのだろうか。





A「...風邪。」



徹『......いや、嘘だね。こんな大事な時にそんなヘマしないでしょ。泣いた？』





急に少し低くなった声に、ギクリと身体が強ばった。





A「......」



徹『......黙りってことは、図星だね。お兄ちゃんに話してみなさーい。』





...我が兄ながら、妹のことをよく理解していると思う。





A「......徹兄って、変なとこ鋭くて気持ち悪い。」



徹『え！？は！？ちょっと！！お兄ちゃんそんな言葉を教えた覚えはありません！』



A「岩ちゃんが徹兄に昔言ってた。」



徹『岩ちゃん...！！！』





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