立場 ページ40
.
Aside
徹『なるほどねぇ〜』
観念した私は、治の状況を名前を伏せて話した。
あと彼氏だということも。
ふむふむと一部始終を聞いた徹兄は、
うーん、と少し考えた後、
徹『放っておけって言われたんなら、もう放っておいたらいいじゃん。』
なんとも淡白な感想をよこした。
A「え、それだけ？」
徹『だってさ、僕その選手のこと知らないもん。性格とか、プレースタイルとかさ。』
A「そりゃ、そうだろうけど...」
徹『その子のことについてよく知ってたら、こうした方がいいとか考えるけど。その辺はAの方が知ってるんじゃない？』
A「まあ、徹兄よりは...」
徹『それに、僕の意見にイマイチな反応したってことは、自分の考えまとまってるんじゃん』
A「...え、」
徹兄の指摘に、思わずハッとした。
徹『まあ、それを行動に起こすかを戸惑ってるって感じかな。たまには思い切りも大切だよ。』
A「それで、関係が悪化したら？」
徹『その時はその時。ていうか、この場合分かるでしょ、Aの行動の意図。ヒトの頑張り蔑ろにするやつはそこまでの男なんだよ。別れてしまえ。』
A「わ、別れないよ！！」
そう反論したところで
電話の向こうから「え？」という拍子抜けの声がして、自分の失態に気付く。
徹『ちょっとー！！冗談のつもりだったんだけど！もしかして彼氏なの！？は、なに、お兄ちゃん惚気聞かされてただけ！？』
A「今のどこが惚気だバカ兄！」
徹『今の相談なんだったの！え、彼女としての相談されてた、？』
A「違うってば、！マネージャーとして......って、あれ......？」
徹『え、何？』
突然静かになった私を心配する兄の声を横流しにしながら、私はぼんやり考えた。
......そうか、私って
マネージャーであり、彼女なのか。
普通に考えれば当たり前のことなんだけど。
...そっか。
徹『...おーい、生きてるー？』
A「...徹兄ありがと。思い切ってみる。」
徹『え、え？まだお兄ちゃんの話終わってないんだけど？ねえ、彼氏なの？お兄ちゃん許しませんよ──』
──プツン。
兄に感謝の念を少しだけ抱きながら、通話終了の画面を見つめた。
話が長くなりそうだからって、一方的に電話を切ったことは許して欲しい。
え、恩知らずじゃないかって？
大丈夫でしょ、徹兄だし。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1412人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し86757号(プロフ) - いつかのイラストを描いていた者です。2年ぶりに最初から読みましたが本当に素敵な作品でずっときゅんきゅんしています。いつまでも待ってますのでこの素敵な恋を素敵な形で完結していただきたいです。 (9月5日 21時) (
レス) id: 717f7bf83d (このIDを非表示/違反報告)
_zh(プロフ) - 面白い作品ほど作者が失踪するジンクスを実感しています。いつか戻ってきてくれるという淡い期待を持ちながらお気に入り登録しますね。 (8月30日 21時) (レス) @page43 id: d3a24f0cd7 (このIDを非表示/違反報告)
カービイ - ぼ、僕も!!!お話すごくおもしろかったので更新待ってますね。頑張ってください!!! (2022年8月5日 21時) (レス) @page39 id: 16e8e39b36 (このIDを非表示/違反報告)
サリア - 続き待ってます (2022年8月3日 4時) (レス) @page39 id: cceeb02c56 (このIDを非表示/違反報告)
サリア - 涙線崩壊してまった,,,この作品好き過ぎる (2022年8月3日 3時) (レス) @page29 id: cceeb02c56 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らな。
| 作成日時：2021年2月13日 0時
