遅刻1 ページ36
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Aside
「日直ー。宮は病院行ってから来るらしいわ。欠席0、遅刻1で頼む。」
先生の話がどこか遠くで聞こえている。
ドクン、ドクンと
ずっと、心臓が嫌な音ばかり立てて。
「え、なんで治くん来てないん?」
「病院て?」
「ケガ?」
「ケガやったらヤバない?大会近いんやろ?」
聞こえてくる、心配や興味を含んだクラスメイトの声は
気がかりで仕方ない私の心をさらに煽っていった。
そんな心境が表情に出てたのか、後ろの席に座る倫太郎は困ったように眉を下げ、
倫「不安オーラ出過ぎ。どうせピンピンして登校してくるよ。」
A「そう、だよね。」
倫「治も心配だけどさ、あいつもそれなりに体丈夫だし、今はAの方が倒れないか心配だわ。」
私とは対象的な、いつも通りの淡々とした口調に、
自分が周りに気を遣わせていることに気付く。
そうだよ。
チームメイトの方が心配に決まってる。
私が励まさなきゃいけないのに、逆に励まされてどうするの。
バシン!と自分の両頬を叩けば、
いきなりなに!?、と倫太郎は驚いて。
A「ごめん。もう平気。」
倫「そ。」
ならいいけど。
それだけ言うと
倫太郎は会話を続けることなく、視線を教卓の先生へと移した。
…それから、なかなか集中できないまま1、2限を過ごして。
「あ!治くんおはよ!!」
休み時間、
そんな女子のひと言に勢いよく教室の入口に目を向ければ、
治「はよーさん。」
ちょうど登校してきたばかりの治と目が合った。
思わず席を立って彼の元に駆け寄る。
そんな出迎えんでもええわ、なんて面倒くさそうに悪態をつく治はいつもと何ら変わりなくて。
なんだ、ほんとにピンピンしてるじゃん。
そうホッとしたのもつかの間。
治は歩きずらそうに右足を引きずってた。
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名無し86757号(プロフ) - いつかのイラストを描いていた者です。2年ぶりに最初から読みましたが本当に素敵な作品でずっときゅんきゅんしています。いつまでも待ってますのでこの素敵な恋を素敵な形で完結していただきたいです。 (9月5日 21時) (レス) id: 717f7bf83d (このIDを非表示/違反報告)
_zh(プロフ) - 面白い作品ほど作者が失踪するジンクスを実感しています。いつか戻ってきてくれるという淡い期待を持ちながらお気に入り登録しますね。 (8月30日 21時) (レス) @page43 id: d3a24f0cd7 (このIDを非表示/違反報告)
カービイ - ぼ、僕も!!!お話すごくおもしろかったので更新待ってますね。頑張ってください!!! (2022年8月5日 21時) (レス) @page39 id: 16e8e39b36 (このIDを非表示/違反報告)
サリア - 続き待ってます (2022年8月3日 4時) (レス) @page39 id: cceeb02c56 (このIDを非表示/違反報告)
サリア - 涙線崩壊してまった,,,この作品好き過ぎる (2022年8月3日 3時) (レス) @page29 id: cceeb02c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らな。 | 作成日時:2021年2月13日 0時