少しくらい、俺のこと見てくれてもええんやで？〈3〉【宮治】

足りない顔ぶれ ページ35

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Aside





繋いでた手のひらが温かくて。


振り向けばすぐそこにある大好きな横顔に、
治の彼女なんだ、って改めて実感して。


家にたどり着くまで、そんな幸せを噛み締めてた。




その余韻は次の日にも続いてて。





A「ふん、ふふん、ふーふん♪」





朝練の準備中、分かりやすく鼻歌を歌ってると
すぐさま感じたのは、金髪からのジト目。





侑「さっきから何なん？朝からキツいねんけど。」



A「今日は何言われても笑顔で返せそう。」



侑「ほな何言うてもええよな！ばーか。ちーび。おたんこなす！！」



A「幼稚な侑が幼稚な言葉使ってる。」



侑「なんやて！？」



倫「お、今日A強いじゃん。」





私と侑の痴話喧嘩を
面白そうに観戦する倫太郎。


そんな私たちのそばを、アランさん達が通りかかって。





アラン「ほんま、今日のAは分かりやすく機嫌がええなぁ。なんや、いい事でもあったん？」



A「はい！今ならなんでもできそうです！」



アラン「はは、確かにめっちゃ強いサーブも打てそうやな。侑とレギュラー代わるか？」





可笑しそうに提案してくるアランさんに
そうですね、なんて答えてると
すかさず侑がそんなん許さん！ってくい込んでくる。




侑「お前セッターできひんやろ！」



北「でもまあ、侑よりは調子安定してそうやな。」



侑「き、北さん、！？」





まさか北さんまで乗ってくるなんて思ってなくて、本気で狼狽える侑に笑っていると
いつの間にか朝練の開始時間になってて。


北さんの号令でみんなが集まってきた時、
いつもの顔ぶれに1人足りないことに気付いた。





A「あれ？治まだ来てないの？」



侑「あいつ何しとんねん。」





侑と治がバラバラで登校することは、別に珍しくない。


ただ、こんなにも治が遅れることはなかなか無いことで。




みんなが不思議に思っていると、ガラッと体育館の扉が開き、監督が登場した。





監「おー、全員揃てるかー？」



北「監督、治がまだ来とりません。」



監「ああ、あいつは病院行ってから来るってさっき連絡来たわ。」



A「……え？」





監督の言葉に、思わず声が零れた。


片割れの侑ですら、は？なんて素っ頓狂な声を漏らしてて。





北「病院、ですか？」





北さんの問いかけにうーん、と監督は険しい表情になる。





監「…駅のホームの階段から落ちて、足を痛めたらしい。」





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