大事な選手 ページ13
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Aside
勢いで立候補してしまった文化祭実行委員。
倫太郎に物好きだねなんて言われながら、
その日の放課後、さっそく委員会に駆り出された。
もともと生徒会と有志の生徒で動いていた文化祭準備。
人手が回らなくなって、追加で委員を増やすことになったんだとか。
実行委員長の挨拶があって、それから私たちの主な仕事内容が説明されて。
毎年使い回していた当日用の飾り付けを確認したところで、今日は解放された。
急いで着替えて体育館に向かえば、
お疲れさんと労ってくれる北さんと、何か不服そうな侑が出迎える。
慣れないドリンクの準備をしてくれていた1年生から続きを引き受けて、急いで水分補給とテーピング類を用意して。
ひと通りの準備を終えたのは
メンバーが1回目の休憩を摂る直前。
侑「何めんどい事自分から引き受けてんねん!物好きか!」
A「うるさいなぁ。それ倫太郎にも言われた。できると思ったから引き受けたんだからいいの!」
倫「これから毎日委員会あるの?」
A「毎日じゃないけど、結構あるかも。毎年使ってた看板がボロボロでさ、作り直さなきゃいけないぽいんだよね。」
侑「そんなん部活来れへんやんけ。俺が愛情込めてドリンク作ったろか?」
A「間に合わない時は1年生に助け求めるからいいです。侑がめちゃめちゃ濃く作りそう。」
侑「なんやて!?」
なんて、わーわー言い合ってたら練習再開の合図。
みんながコートに戻っていく中、最後まで倫太郎は動かなくて
物言いたげな視線を向けられた。
A「……変なこと言わなくていいからね?」
倫「治が委員にさせられそうになってたから防ぐためにAが立候補した、とか?」
A「倫太郎の場合、誇張して言うから厄介だよね。」
倫「わりと事実じゃない?」
A「防ぐなんて、そんなヒーロー地味た言い方しないで。大事な選手に余分な時間を割いて欲しくなかっただけだし。」
全国優勝目指してて、ましてや治はレギュラーで。
1秒たりともバレーに注ぐ時間を欠けさせたくない。
マネージャーならそう考えて当然でしょ。
………たとえ、嫌われてたとしてもね。
A「ほら、行った行った!」
背中を押して無理やり前に進ませれば、渋々練習に戻っていく倫太郎。
倫「……ほんと、健気だね。」
去り際
ボソリと呟いたひと言に、私が気付くことはなかった。
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名無し86757号(プロフ) - いつかのイラストを描いていた者です。2年ぶりに最初から読みましたが本当に素敵な作品でずっときゅんきゅんしています。いつまでも待ってますのでこの素敵な恋を素敵な形で完結していただきたいです。 (9月5日 21時) (レス) id: 717f7bf83d (このIDを非表示/違反報告)
_zh(プロフ) - 面白い作品ほど作者が失踪するジンクスを実感しています。いつか戻ってきてくれるという淡い期待を持ちながらお気に入り登録しますね。 (8月30日 21時) (レス) @page43 id: d3a24f0cd7 (このIDを非表示/違反報告)
カービイ - ぼ、僕も!!!お話すごくおもしろかったので更新待ってますね。頑張ってください!!! (2022年8月5日 21時) (レス) @page39 id: 16e8e39b36 (このIDを非表示/違反報告)
サリア - 続き待ってます (2022年8月3日 4時) (レス) @page39 id: cceeb02c56 (このIDを非表示/違反報告)
サリア - 涙線崩壊してまった,,,この作品好き過ぎる (2022年8月3日 3時) (レス) @page29 id: cceeb02c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らな。 | 作成日時:2021年2月13日 0時