信じたいのは ページ27
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Aside
いつもと同じ部活終わりのはずだった。
A「……え。」
治「……おう。」
体育館を閉め、制服に着替えて更衣室を出ると
校門の辺りにあったのは治の姿で。
思わず反応してしまったものの、
私待ちなはずがないと自惚れをかき消して
前を素通りしようとすると、
治「待て待て、自分待ってたんやけど。」
そんなことを言って、治が駆け寄ってくる。
その言葉に驚いて、私は足を止めた。
A「え……なんで…?」
治「話そ思て。」
A「……何を?」
昼間の言葉も伝わっていないのに、
何を話すって言うんだろうか。
また、あの時のように辛辣な言葉を言われたら
今度こそ立ち直れないかもしれない、
ビクビクと身構えていたら、
治の真剣な眼差しと視線が絡んで。
治「……ごめんな。」
A「……え?」
突然の謝罪の言葉に驚いていると、
治は申し訳なさそうに続ける。
治「………俺、Aの話も聞かずと勝手に弄ばれた思て、酷い言葉ぶつけてしもた。」
A「……いや、それは私がハッキリしてなかったのがいけなかったわけで…」
治「でも、突き放して傷付けたのは事実やろ。次の日、目ぇ腫らせたりして。俺アホやから、メガネの理由なんで考えもせんかったわ。」
A「……っ、」
治「……Aが友達と、俺はありえへんって話しとるの聞いて、ショック受けたのは事実やけどな。……今日の昼間話して、俺思てん。」
A「……」
治「偶然聞いた言葉より、Aに直接言われた言葉を信じたい。」
……それって………
治の言葉に反応するように、心臓がドクンと大きな音を立てた。
そしてそのまま、鼓動は早くなっていく。
治「……なぁ。」
A「……はい。」
治「……返事、やっぱして欲しい。」
A「……え、………」
治「……今更なのは重々承知や。それでも聞きたいねん。Aの口から直接。」
真っ直ぐなその瞳から、私は目を逸らせないでいた。
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名無し86757号(プロフ) - いつかのイラストを描いていた者です。2年ぶりに最初から読みましたが本当に素敵な作品でずっときゅんきゅんしています。いつまでも待ってますのでこの素敵な恋を素敵な形で完結していただきたいです。 (9月5日 21時) (レス) id: 717f7bf83d (このIDを非表示/違反報告)
_zh(プロフ) - 面白い作品ほど作者が失踪するジンクスを実感しています。いつか戻ってきてくれるという淡い期待を持ちながらお気に入り登録しますね。 (8月30日 21時) (レス) @page43 id: d3a24f0cd7 (このIDを非表示/違反報告)
カービイ - ぼ、僕も!!!お話すごくおもしろかったので更新待ってますね。頑張ってください!!! (2022年8月5日 21時) (レス) @page39 id: 16e8e39b36 (このIDを非表示/違反報告)
サリア - 続き待ってます (2022年8月3日 4時) (レス) @page39 id: cceeb02c56 (このIDを非表示/違反報告)
サリア - 涙線崩壊してまった,,,この作品好き過ぎる (2022年8月3日 3時) (レス) @page29 id: cceeb02c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らな。 | 作成日時:2021年2月13日 0時