少しくらい、俺のこと見てくれてもええんやで？【宮治】

あいつは自分の何なん？ ページ28

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Aside






侑「はぁ？なかなか部活来ん思てたら、告られよったやと！？ありえんわ、人違いちゃうの？」



A「……絶対バカにしてるよね。」





自主練の後の片付けの最中。



じとっとした目で侑を見てみれば、
そんなことないで？ってわざとらしいフォローを入れ始める侑。





侑「ほら、もの好きにはモテるんとちゃう？Aも。」



A「私からしたら、侑にきゃあきゃあ言ってる女子は全員物好きにしか見えない。」



侑「は、モテへんからって僻むなや！」



A「私は銀推しだから。」



侑「なんやて！？」





何で俺推さへんねん！って声を荒らげて。



逆になんで侑を推さなきゃいけないんだっての。





侑「ていうか、普通分かれや、そんなあからさまな行動。」



A「他クラスにもの借りに来るなんて普通のことじゃん。」



侑「わざわざ女に借りいくなんてな、そいつ狙っとるか女好きかのどっちかやで。」





まったく、とでも言うように
侑はため息を付いて、ポールを運んでいった。



ネットを畳んでいると、そのすぐ側を治が通りかかる。





治「今のは侑に同感やな。」



A「うっ。治まで……」



治「今日かて、俺行かんかったらどうなってたか知らへんで。」





そう言いながらその場に腰を屈めた治。



ネットの端をつまんでて、どうやら畳むのを手伝ってくれるらしい。





治「自分、鈍すぎやねん。恋愛無知な訳でもあらへんやろ？」



A「全く知らない訳では無いけど、なんせ、これまでバレーに青春を掲げてきたもので……」



治「……なら、兄ちゃんとこのエースとは？」



A「へ、」





治と目を合す訳でもなく黙々とネットを畳んでいたけど
私は思わずその手を止めた。





…え、それって………


岩ちゃんのこと、？





目を見開いた状態で顔を上げると
目の前の治と視線が絡む。





A「…なんで、岩ちゃんのことが……」



治「月バリの、あいつの写真見る時だけ、目が違てた。」



A「なにそれ……」





なんなの、その変な鋭さ。



不意打ちのような指摘に体が熱くなる。





治「なぁ。……Aにとって、あいつは何なん？」





そう聞いてきた治の瞳はいつになく澄んで、
それでいて、とても真っ直ぐだった。






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