白濱くんが呼び捨てをしない理由。[Alan.S]

最悪のクリスマス・イブ ページ3

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Aside





…まあ、そんなことがあって、早歩きで家へ向かうという今に至る。




フラれた。




こんな日に。




クリスマスイブに。




普通、クリスマスは恋人と過ごす聖なる夜なんだけどな。






……フラれた理由


『Aってさ、可愛げが無いんだよね。』






…どうせ私は可愛くありませんよ。



悪かったね、可愛げが無くて。





周りはみんな、カップルばかり。


気まずいったらありゃしない。






人目から逃げるようにチラチラと辺りを見渡しながら歩いていれば、
ひと組の男女に目がとまった。




女子の方は、ふわふわの髪の毛を綺麗に巻いていて、いかにも女子って感じの可愛い子。







そして、男子の方は。






A｢……冬馬…………｣









……人違い？



ううん。





首元に巻かれているのは
何度も見たことのある、グレーのマフラー。




冬馬の腕には女の子の華奢な腕が巻きついていて、私は全てを悟った。



悔しさからなのか、悲しさからなのかはわかんないけど、涙で視界が歪んでくる。





……なるほど。



冬馬はああいう子が好みなのね。





別れた本当の理由は、新しい彼女ができたから。



そりゃ、可愛げがないってのも本当だけど、
本命はこっち。





────ドンッ






｢うおっ、｣



A｢きゃ……っ、｣






人に見られないように下を向いてた歩いてたから、人にぶつかってしまった。



ぶつかった拍子にふらついた私をその人は親切にも助けてくれる。






A｢…ありがとうございま……っ、！｣



亜嵐｢…えっ、｣






少しだけ視線を上げてみれば、目の前の男の人はわかりやすく目を見開いて。




彼と同じように、
私も目を見開いていた。




彼がそうしたのは、きっと私が泣いていることに驚いてだろう。



私が彼と同じように目を見開いたのは、違う理由。






……目の前にいたのが、知っている人だったから。







私は慌ててその場から逃げるように去った。



人気が少なくなったところで、少しだけ涙を拭う。






A｢……はぁ…｣







…彼氏には振られるし。



…泣き顔は人に見られるし。



…その人は、できれば関わりたくない人だし。




…なんだっけな………名前。


し……しら………しらなんとかくん。






………本当に、最悪のクリスマスイブだ。






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