好き。…嘘、大好き。〜after story〜[佐野玲於]

ぶっきらぼうな ページ40

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Aside






結局、残りのライブは
踊れるところだけ踊る、という形がとられた。


そんなわけで、私の出番は減ったわけだけど、
そこまで落ち込むことは無くて。




……多分、玲於くんとちゃんと話せたから。


まあ、とりあえず落ち着いた、って感じだけどね。




１週間ライブの盛り上げに励んだ私は
お土産だのなんだの入った紙袋とキャリーケースを引き連れて東京に戻った。




飛行機から降り、
キャリーを引きながら自動ドアを潜れば
背後から私の名前を呼ぶ声。


チラリと振り返ってみれば、
そこにはキャップにマスクという、いかにも怪しい感じの人物がいて。




A｢え……｣


玲於｢……おかえり。｣


A｢玲於くん……｣


玲於｢…なんで今日帰るって言わなかったんだよ。｣


A｢なんで知って……｣


玲於｢今日帰るって、飛行機の到着時刻つきで沙耶ちゃんから連絡あったから。｣


A｢え、………｣


玲於｢驚きすぎ。笑｣




ほら、って近づいてきた玲於くん。


視線は私の手元にあって
何かと思えば、突然荷物を取り上げられた。




A｢あっ、ちょ……｣


玲於｢買いすぎ。右手に負担かけたら治るのも遅くなるんじゃねえの？｣




ったく、って少しめんどくさそうで。


でも、だからって
キャリーケースを私に返そうとはしない。



大丈夫だから自分で持つって言えば、




玲於｢じゃあ、キャリーを俺が右手で持つのと、俺が左手で持って右手でAと手を繋ぐのと、どっちがいい？｣




なんて、訳の分からないこと言い始める。


何がなんでも私に渡すことは無いんだなって悟った私は、後者を選んだ。




……これもきっと、玲於くんのぶっきらぼうな優しさだって解釈して。





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