好き。…嘘、大好き。〜after story〜[佐野玲於]

いつも通り…？ ページ24

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Aside





──ピコン。


────ピコンピコン。




A｢……｣


｢Aちゃん、スマホめちゃくちゃなってるけど…｣


A｢…迷惑メール。｣




ライブ前の楽屋。



そう誤魔化せば、うわ、嫌なやつだ、って
同期の友達は私の代わりに面倒くさそうな顔をした。




……嘘。


……本当は誰からなのか知ってる。




迷惑メールを確認するふりをして、開いたLINE。




玲於くんおい


玲於くん無視かよ


玲於くんちゃんと話したいんだけど





A｢……｣




見るだけ見て、返事をせずスマホをロックした。




一昨日の夜、通話を一方的に切ってからというもの、
玲於くんからの電話やLINEを全て無視してきた私。


あれから胸のモヤモヤは消えてくれなくて、
こんな状態で玲於くんと話したら
自分の嫌なところを見せてしまいそうなんだよね。


怒ってるのもあるけど、きっとこれが
玲於くんからの連絡を避ける一番の理由。






｢……あの、｣


A｢はい？｣




背後から声がして
振り返ってみれば、ひとりの女の子。


確か、２つ年下で、私の隣で踊ってる子だ。




｢……Aさんて、佐野玲於くんと幼なじみなんですよね？｣


A｢え？｣




どこからそんな情報が回ってきたんだか。



…正直、今は玲於くんの話をしたくないんだけどな。



同期の子達にも言ってないから、え、そうなの！？って興味津々。




｢……あの、私、玲於くんの大ファンで。よかったらサインとか…お願いできませんか？｣




ああ、そういうことね。


今までも何度かあった、このパターン。




A｢…ごめんね、そういうのはいつも断ってるんだ。｣




相手に嫌な思いをさせないよう、
できるだけ柔らかく言った。



これは本当のこと。


それに、今の状態じゃなおさら頼めるわけがない。




彼女は納得したらしく、こちらこそすみません、って
苦笑いを浮かべて私の元を立ち去った。






、








やがて始まったライブ。


いつものようにパフォーマンスをこなす。


笑顔を振りまきながら、歌手の人との掛け合いもしたり。


全てがいつも通り。






……の、はずだった。




ライブの後半
バックダンサーがたくさん出て、ステージの至る所で踊る曲。







その曲で私は、ステージから落ちた。




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