零れた本音 ページ4
.
Aside
玲於「…どうしたんだよ?」
A「…なんでもない。」
玲於「こっち向けって。」
A「……嫌。」
顔みたら、泣いてしまいそうだもん。
私の名前を呼ぶその声は、ひどく優しくて。
手を振り払おうとしても、余計に強く握られる。
思わず漏れる本音。
彼の方向を向きながらも、視線は下で。
A「……いで。」
玲於「え?」
A「…っ、これ以上、優しくしないで!」
玲於「………、A?」
玲於くんの戸惑いの声が聞こえる。
でも、開いた口は止まらない。
A「玲於くんには夏希さんがいるじゃん!私になんか構って、何になるの?」
玲於「何言ってんだよ。意味わかんねぇんだけど。」
A「そのまんまの意味だよ。幼なじみだからってこんなに簡単に家にも挙げてさ。そんなにお人好しだった?夏希さんに悪いと思わないの?」
玲於「……おい、」
A「こんなの……!」
…こんなの、私を期待させるだけ。
それは言葉にできなくて
下唇を噛めば、代わりに涙が頬を伝う。
玲於「……いい加減にしろよ。」
玲於くんの、これまで聞いたことないような低い声が耳に届いた。
怒りを感じるようなその声に、思わず身体が強ばる。
やってしまった、という今更ながらの後悔。
玲於「……お前、俺を夏希とどうしたいわけ?」
A「どうするも何も……っ!」
反射的に上げた顔。
途端に玲於くんと視線が絡んで。
玲於くんの表情に、私は目を見開いた。
A「……っ」
……なんで、そんな辛そうな顔してるの?
一瞬そんな疑問が過ぎったけど、
今の私に、それについてよく考えられるような平常心はなくて。
A「…離して。」
もう一度腕を振れば、今度はいとも簡単にその手はほどかれる。
そのまま私は、玲於くんの家を飛び出した。
ひたすら走って帰った、自分の部屋。
バッグをソファーに放り投げて、寝室に行って枕に顔を埋める。
……この気持ちを消すことが出来たら、どんなに楽だろうか。
A「嫌いになれたらいいのに………!」
こんなに辛さや切なさに耐えても、叶わないものなのに。
枕に向かって叫びながら
涙が枯れるまでひたすら泣いた。
.
2265人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハナリーン(プロフ) - もう本当にきゅんきゅんしすぎて死にそうで、にやけがとまりません……。改めて玲於くんがまた好きになってしまいました。幸せな時間をありがとうございます……! (2019年3月24日 7時) (レス) id: 33cb9575e2 (このIDを非表示/違反報告)
ど根性オレンジ(プロフ) - はい!O(≧ω≦)O語りましょう!(≧∀≦) (2019年1月9日 20時) (レス) id: 20d845d7dd (このIDを非表示/違反報告)
らな。(プロフ) - ちょんさん» 嬉しいコメントありがとうございます(*´-`*) がんばってきます!!! (2019年1月8日 20時) (レス) id: 3fd04ece2f (このIDを非表示/違反報告)
らな。(プロフ) - SOLTWORLDさん» なんですかこのにやけてしまうコメントは。笑 ありがとうございます(*^^*) 番外編までしばしお待ちくださいヽ(´ー`)ノ (2019年1月8日 20時) (レス) id: 3fd04ece2f (このIDを非表示/違反報告)
らな。(プロフ) - ど根性オレンジさん» オレンジさぁぁあん!!!がんばってきます〜!!また語りましょう。笑 (2019年1月8日 20時) (レス) id: 3fd04ece2f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らな。 | 作成日時:2018年12月2日 0時