好き。...嘘、大好き。【3】[佐野玲於]

離したくないのは ページ27

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玲於side




とは思ったものの


…じゃあ、誰のものになるっていうんだ？




だいたいそれを決めるのは俺じゃない。


自分勝手がはたらいていることに、驚き呆れた。



それは独占欲だ、なんて言われたら、
何も言い返せない。





まだ視点は右手のまま。




…見た目より華奢な手だったな。


改めて、女の子なんだって感じる手。




俺が目を瞑っているスキを見計らって
その手は俺の手の中から抜け出そうとした。




俺は、自分の手の中にあるその手が

心地よくて

離しがたくて



気がつけば、ぎゅっ、と力を込めて
その手を逃がさなかった。






まぶたの先で、
Aが息をつまらすのを感じた。




何してんだろうって自分に呆れてると
AもAで、｢厄介だ｣なんて言う。




…どういう意味で厄介？


ただの酔っ払いとして？

それとも、何か別の話？




狸寝入りなんてらしくないことしてた俺には
到底聞くことが出来ないこと。




玲於｢…ホント、何やってんだろ。｣




ため息とともに、そう吐き捨てた。





俺の行動は、きっと、あいつを困らせた。



おかしいんだよ。



Aに、ドキドキしてる自分がいる。



今まで何ともなかったのに。





俺の中で既に特別だったAの存在が、
さらに、今までとは違う特別になりつつある。









…離したくないのは、その手だけに留まっていないのかもしれない。





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