好き。...嘘、大好き｡【2】[佐野玲於]

白地の浴衣 ページ12

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Aside



白濱さんとの撮影、無事終わって。


さあ、玲於くんとの番だって思ってたら
Aちゃん、って由梨さんに呼ばれた。


何かと思えば、再びメイク室に連れ出される。



メイクをしてもらった時と同じメイク室。

ひとつ違うのは
壁に、さっきは無かったはずの
見覚えのない浴衣がかかっていること。



私が今着ているのは
黒地に大きな牡丹があしらわれた、大人っぽい雰囲気の浴衣。

白濱さんが白地の浴衣で、
ふたり並んだ時の色合いがすごく綺麗だった。


今見つけたそれは、
白地に、ピンクや水色の淡い色で花が施されていて
私が着ているものとは対照的で、可愛いらしい感じ。




由梨｢それね、今からAちゃんが着る浴衣。｣


A｢別の浴衣で撮るんですね？｣


由梨｢そ。｣




メイク直そっかっていう由梨さんに
はいって返事して、鏡の前に座った。


由梨さん、鏡越しに私のこと見つめて
う〜ん、って唸る。




由梨｢そうだな……Aちゃん、メイク1度落としちゃってもいい？その黒の浴衣に合わせたから、ちょっとあっちの浴衣には派手かも。｣


A｢あ、はい、大丈夫です。｣




じゃあ、遠慮なく
そう言って由梨さんは私のメイクを1度落として
また新たにメイクをしてくれた。


メイクをしてもらってる最中、
ずっと鏡越しに目に入る、壁際の浴衣。



なんとなく見てると、由梨さんが




由梨｢気になる？｣


A｢あ、いや…｣


由梨｢それね、玲於が選んだ浴衣なんだよ。｣


A｢え？｣


由梨｢今回の撮影、GENEの理想のデートがコンセプトになってて、浴衣はメンバーがそれぞれ選んだの。玲於は白地の浴衣がいいって、ひたすらそういう感じのやつ探してたな？｣


A｢そう、なんですか…｣




それから、
あ、髪もいじっちゃうねーって
由梨さんは私の髪に触れた。



ヘアメイクをしてもらってる間
私はなんだか、不思議な気持ちに陥っていた。



……だって、白地のその浴衣は、
私が以前持っていた浴衣によく似ていたから。



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