キミの嘘も、寝顔も、明日も。-Ki-【5】

余裕のない表情 ページ22

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宏光「…俺、バカみたいに不安でさ」



「…え？」



宏光「…Aが他のやつを好きになっちゃうんじゃないか、って。すっげぇ不安なんだよね」



「…なんで、」



宏光「Aって、普通にモテるし。周りの男もなんでかイケメンばっかだし。…そのくせ俺なんて、チビだし童顔だし…しかも子持ちだし」



「…」



宏光「…藤ヶ谷だって、どうせまだ諦めてないだろうし。玉森くんとか、二階堂だってお前のこと「宏くんっ！！」












止まらない宏くんの言葉、思わず遮って。



だって、自分のこと悪く言い過ぎ。



それに、藤ヶ谷さんが何なの？



確かに、まだ諦めない、みたいに言われたけど…



私は藤ヶ谷さんのことなんて好きじゃないし、ましてや裕太くんや二階堂さんて…、












びっくりしてる宏くんの頬を、そっと両手で包み込んで。













私は宏くんだけだよ？



宏くんだけが、大好きなんだよ…？













そんな想いを込めて、唇に優しくキスを落とす。













宏光「…そんなんじゃ足りない」



「…ぅ…んっ…、」













後頭部に手を回され、噛み付くようなキスを何度も繰り返す。













「…ん…、ふぁ…っ…、」



宏光「…はぁ、…A…、」













切なそうに私を呼ぶ声に、心臓がきゅ、って苦しくなって…



宏くんのスウェットの裾を握り締める。













「…ん…、はぁ…」













ちゅ、ってリップ音を鳴らしながら離れた唇。



途端にさみしくなって顔を上げれば、そこには余裕のない表情の彼。













宏光「…んな顔すんなって、」



「…」



宏光「我慢、出来なくなる…」



「…」













ポン、て優しく頭に触れて。



リビングに戻ろうと振り返る宏くんの手、咄嗟に掴む。

















宏くんにキスして欲しい。



宏くんに触れて欲しい。



宏くんの温もりが欲しい。










もっと…



もっと…



もっと…












宏くんのこと、感じたい……







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