キミの嘘も、寝顔も、明日も。-Ki-【4】

スマートな注文 ページ32

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「…ありがとうございます」



藤「…」



「…うれしいです。そんなふうに思ってもらえて」



藤「…」



「……でも、ごめんなさい…」



藤「…」



「藤ヶ谷さんとは、付き合えません…」



藤「…」












藤ヶ谷さんの顔、見れなくて…



俯いたまま呟く。



隣の藤ヶ谷さんの視線を痛いほど感じて、顔を上げることができない…













藤「……そう言われると思ってた」



「…へ？」












藤ヶ谷さんから発せられた意外な言葉。



びっくりして、思わず顔を上げる。












藤「なんとなくわかってた。Aちゃんと北山が、お互い好きあってること」



「…うそ、」



藤「ふふ、ほんと。特に北山なんてわかりやすすぎ」



「…///」












…うそ。



藤ヶ谷さん、知ってたんだ。



恥ずかしすぎるっ……////











しゅう、て小さくなって俯く私を、隣でクスクスわらう藤ヶ谷さん。









藤「それで、付き合ってるの？北山と」



「…え、」



藤「え？付き合ってないの？」



「…あ、いや……つ、付き合ってま…す…////」



藤「そっか。いつから？」



「…えっと、私が退院した日から…です」



藤「…ふぅーん」












半分以上無くなったモスコーミュールのグラスをくるくる回しながら。



ごく、って一口飲み込んだ藤ヶ谷さん。












藤「…でもさ。俺諦めないよ？」



「はい？」



藤「だって、付き合ってるからって諦める必要ないよね？」



「…」











グラス持ったまま、こちらを向いてニッて笑う。










…あ。



小悪魔藤ヶ谷だ。



あれ？



まだ酔ってないよね…？












藤「…あ、グラス空じゃん。次は何飲む？」



「…え？…あ、えっと…」



藤「次も俺が決めちゃってもい？これも飲んでみて欲しいんだけどさ」



「…あ、はい。お願いします…」











ふふ、って微笑んだ藤ヶ谷さんは、バーテンダーに向かって合図を送る。











藤「ホワイトレディーとジントニックを」











なんてスマートな注文…






……って、違う違う。






藤ヶ谷さん、さっきなんて言った？



え？



諦めない、って…



そう言った、よね……？？







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