キミの嘘も、寝顔も、明日も。-Ki-【4】

今日だけだからな ページ29

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宏光「ねぇ、ほんとに行くの？」



「行きますよ？約束しましたから」



宏光「二人だけで？」



「…まぁ、約束ですから」



宏光「…ちぇ。なんでだよ…」











藤ヶ谷さんから連絡をもらって、今日の夜一緒に食事に行くことになってる。



宏くんは、さっきからずっとこの会話の繰り返し。



心配してくれてるのかな、って思うけど、次は二人だけで、っていう藤ヶ谷さんの約束を破るわけにもいかないし。



それに、この前の告白のことも…



ちゃんと返事しなきゃいけないから、今日は私だけで行かなきゃ。












「…宏くん、」



宏光「…」



「…二人だけ、って…やっぱり嫌ですか？」









机に突っ伏して、下唇ツン、て突き出してる宏くんの目の前。



同じように机に突っ伏して聞いてみる。












宏光「やだ」



「…」



宏光「……っていったら、どうせお前困るだろ？」



「…まぁ、」



宏光「…じゃあ聞くな」



「すいません…」














他の男の人と二人で食事なんて、嫌に決まってる。



しかも、相手は私に好意を持ってくれてる。



そして、ちょっとだけ危険人物。



私だったら嫌だもん。



そんな人と宏くんが、二人だけで食事に行くのなんて……












「…でも、」



宏光「…え？」



「…でも、今日はちゃんと藤ヶ谷さんに返事します」



宏光「…」



「…ちゃんと、宏くんと付き合ってること言います」



宏光「…」



「…だから、今日だけ許してもらえませんか？」



宏光「…」












ジッと私の話を聞いてた宏くんは、急にガタ、って椅子から立ち上がって、私の後ろに回り込む。



その瞬間、後ろから伸びてきた腕にギュ、って抱きしめられて。



ふわって背中に感じる宏くんの体温に、ドキドキと胸が高鳴るのがわかる。











宏光「…ったく。しょうがねぇな」



「…」



宏光「今日だけだからな」



「…はい」



宏光「飲み過ぎないことと、飲ませすぎないこと。あと、絶対キスされないこと」



「…っな！？されませんよキスなんてっ…///」



宏光「んなのわかんないだろ。相手は藤ヶ谷だぞ？この前されてたくせに」



「…きょ、今日は気を付けますっ！！」



宏光「……絶対だからな」



「はい！」



宏光「…ん。ならいい」












そう言った宏くんは、優しく頭を引き寄せて。




チュ、って優しくキスをくれた。






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