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一転、ぎこちなく口角を上げる私に対して、彼の答えは早く、そしてシンプルだった。
「嫌だ！」
「いやだ？」
あまりの勢いにそのままオウム返しにしてしまった。見開いた目に映ったのは、同じように驚いた表情の日向。なんで本人が驚いてるのさ。
「ごめん……あー、あの、なんていうかさ……」
しっくりくる言葉が見つからないのだろう、あーだとかうーだとか唸る。彼は感覚派だから、他人に伝わるようにアウトプットするのが上手くない。それなのに悪戦苦闘しながら私に気持ちを伝えようとしてくれているのが、嬉しくて、どうしようもなかった。本当に私はだめだ。
「なんか……反射的に、『嫌だ』って思ったから、そういうことなんだと思う……」
「……どういうこと？」
「俺、あっちで色々あって、財布すられたりとか。でもそういう時、バレー部のみんなで取った写真見て元気貰ってた。で、その中でも一番会いたかったのが、……あーもう！」
突如として日向が立ち上がり、大きな声を出すものだから、思わず肩が跳ねる。店中の視線がこちらに集中したのが分かる。これはまずいと彼を諌めようとした、その瞬間だった。
「もう一回俺と付き合ってください！」
私は今度こそ、本当に硬直してしまった。ぽかんと間抜けに口を半開きにさせて、ただ彼の目のあたりを眺める。
「自信って何！？ そんなのいらないよ！ 俺のこと好き！？」
「す、すきです」
「俺も好き！ それでいいじゃん！ あと俺別にAと違わないし！」
「いや特別だって、普通の人はリオまで修行に行かないよ……」
「それを言うならAも俺の特別！ はい！ お揃い！ 解決！」
「えぇ……」
それ多分意味違うよ、という言葉はほとんど独り言のような言い方になった。正気に戻ったらしい日向が、真っ赤な顔をして席につく。
「ごめん、でも、嘘は言ってない」
「うん」
「俺と、また付き合ってください」
「うん、」
照れ隠しだろうか。別に別れてはないからこの言い方はおかしいかとかなんとか、彼は暫くぶつぶつとつぶやいていた。そうしてふるふると頭を振った日向は、きっと睨むような力強さで私を見据える。
「俺もガクシューした！ 今度はここで、すぐに返事して」
その頬は未だ薄らと赤いのに、言葉には妙な圧があった。それに逆らえず、私は上唇と下唇を無理やり引き剥がす。
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さかき(プロフ) - 莉葵さん» ありがとうございます！次の作品もぜひ読んでやってください〜 (2020年5月31日 12時) (
レス) id: 8b909e2b91 (このIDを非表示/違反報告)
莉葵 - 追記.応援してます！新作できたら、教えてくださいね(^^)日向愛が溢れちゃってます汗 (2020年5月30日 12時) (レス) id: 5b76c35070 (このIDを非表示/違反報告)
莉葵 - すごく良いお話でした！感動しました！日向を見る目が少し変わった気がします笑 (2020年5月30日 12時) (レス) id: 5b76c35070 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - Ria*さん» 励みになります、ありがとうございます！日向いいですよね… (2020年5月29日 22時) (レス) id: 8b909e2b91 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - 依さん» 依さんありがとうございますめちゃくちゃ嬉しいです！こちらこそまた読んでやってくださいな！！ (2020年5月29日 22時) (レス) id: 8b909e2b91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかき | 作成日時：2020年5月29日 16時
