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「なんで！？」
「結論を出せなかった、私が悪い」
選択を任せるというのはすなわち信頼だ。日向が私を信頼してくれたのだから、私はそれに応えねばならなかったのだ。
何より、私は逃げた。一言も言葉をかわさないでいるうちに今の自分たちを形容する言葉がわからなくなって、そのことを考えることさえ怖くなった。そうして思考停止して、宙ぶらりんな関係を助長したのだ。日向に謝られるような立場にない。
「いや、俺のが、」
「私のほうが悪いよ」
「俺、……やめよう、キリがない。なんだっけ、そう！ けんかりょーせいばい！」
「……そうだね」
喧嘩両成敗、の発音が拙くて、思わず笑ってしまった。多分、漢字は書けないんだろうな。日向の眉が下がった。
「やっと笑った」
「笑ってなかったけ？」
「うん。久しぶりだ」
そんな、いとおしいものを見るような目、しないでほしい。ぽかぽかと暖かい、春の陽気のような目線だった。見てられない。
「日向ってかっこいいよね」
「エッ！？」
「かっこいいよ……だって、地球の裏側まで行っちゃうんだもん……特別なんだよ、日向は。だから、隣にいられる自信がない。いていいとも、思わない」
私は、彼とは違う。何もかもが。いつか全速力で走る彼の背中すら見えなくなって、完全に置いてけぼりにされてしまうかもしれない。それなら、いっそ。
「……別れる？」
私が昔彼に問われたのと、そっくり同じ文言だった。ごめん、日向。これが私の答えだ。直接顔を見て、ようやく結論づけることができた。
彼は大人になった。自分が望む未来を考えて、そのための取捨選択ができる、大人に。日向が好きだ、大好きだ。でも付き合っていいとは思えない。優柔不断で意志薄弱な子供の私と違って、彼は選ぶ側の人間だと思った。子供は大人の意見を伺う、そういうものじゃない？ 自虐的な考えが頭をよぎり、すうっと私に浸透していく。
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さかき(プロフ) - 莉葵さん» ありがとうございます！次の作品もぜひ読んでやってください〜 (2020年5月31日 12時) (
レス) id: 8b909e2b91 (このIDを非表示/違反報告)
莉葵 - 追記.応援してます！新作できたら、教えてくださいね(^^)日向愛が溢れちゃってます汗 (2020年5月30日 12時) (レス) id: 5b76c35070 (このIDを非表示/違反報告)
莉葵 - すごく良いお話でした！感動しました！日向を見る目が少し変わった気がします笑 (2020年5月30日 12時) (レス) id: 5b76c35070 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - Ria*さん» 励みになります、ありがとうございます！日向いいですよね… (2020年5月29日 22時) (レス) id: 8b909e2b91 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - 依さん» 依さんありがとうございますめちゃくちゃ嬉しいです！こちらこそまた読んでやってくださいな！！ (2020年5月29日 22時) (レス) id: 8b909e2b91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかき | 作成日時：2020年5月29日 16時
