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 くそ。本当私、だめだ。乾いた喉からなんとか謝罪をひねり出す。

「ごめんね、月島」
「……あのさあ、今まであえて聞かなかったんだけど。結局君と日向ってまだ付き合ってるの、付き合ってないの?」
「……分かんない」
「言うと思った」

 月島は、多分察しているんだと思う。色々。彼は昔からずっと聡明で、そう、そうだ、何でもお見通しだった。たぶん、私と日向が付き合っていることに初めに気づいたのは彼だった。そうして、彼はあの妙に大人びたような瞳をして、何も言わなかった。なのに。
 「言うと思った」なら、どうして確認したのだろう。分かっていることをわざわざ聞くのは、月島らしくない。異常事態だ。

「僕に謝るより先になんとかしないといけないことあるでしょ。言っとくけど、いつまでもあの頃を生きられると思ってるなら大間違いだよ」

 どうした月島、と言おうとして、今は冗談めいた声が出せそうにもないことに気がついてやめた。顔が、挙げられない。今の彼がどんな表情をしているのか、知りたくもなかった。

「……珍しいね、月島がそういうこと言うの」
「柄でもないこと言うくらいには、今の君たちは目も当てられない状態だってことだよ」

 それって相当じゃないかな、と零すと、だからそうだって言ってんデショ、とつっけんどんな声がつむじのあたりを直撃した。ぐうの音も出なかった。

 これがもう五ヶ月前の出来事だなんて、笑ってしまうな。

きみの名残、あるいは。→←春、きみの足音。



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さかき(プロフ) - 莉葵さん» ありがとうございます!次の作品もぜひ読んでやってください〜 (2020年5月31日 12時) (レス) id: 8b909e2b91 (このIDを非表示/違反報告)
莉葵 - 追記.応援してます!新作できたら、教えてくださいね(^^)日向愛が溢れちゃってます汗 (2020年5月30日 12時) (レス) id: 5b76c35070 (このIDを非表示/違反報告)
莉葵 - すごく良いお話でした!感動しました!日向を見る目が少し変わった気がします笑 (2020年5月30日 12時) (レス) id: 5b76c35070 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - Ria*さん» 励みになります、ありがとうございます!日向いいですよね… (2020年5月29日 22時) (レス) id: 8b909e2b91 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - 依さん» 依さんありがとうございますめちゃくちゃ嬉しいです!こちらこそまた読んでやってくださいな!! (2020年5月29日 22時) (レス) id: 8b909e2b91 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さかき | 作成日時:2020年5月29日 16時

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