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どっどっどと心臓が早鐘を打つ。余りにも勢いよく暴れるので、胸を突き破ってしまうのではないかと思うほどだ。
ああ、どうしよう、心臓の音が聞こえちゃうんじゃないかな。ゆっくりと教室に入ってきた瀬見をちらりと見やる。
「どうした？珍しいな、わざわざ俺を呼び出すの。部活の連絡か？」
……うん。通常運転だ。
いや違うわと勢いよくツッコミをかましたいくらいには、私と対面する瀬見は呑気だった。部活の連絡か？じゃない。それだったら普通に体育館までの道すがらすればいいだろ、まさしくこれから部活なんだから。どうしてそうなる。鈍感レベル九十九か？
誰もいない放課後の教室、目の前には頬を染めた美少女。窓から差し込む夕日が二人を照らし、ぼんやりとした輪郭の影を作っている。――ここまでベタベタにセッティングしてなお気付けないのが瀬見英太という男である。
「……それ、まさかわざとなの？」
「何が？」
ダメだこりゃ。どうしてくれる、一気に気が抜けたじゃないか。
気を取り直すべくふぅと息を吐く。そして、きっと瀬見を睨みつけた。
こんなのはいつもの事だ。だから私ははっきり言おうと決めたんじゃないか。急に睨まれて驚いたのか、目をぱちくりさせている瀬見を真っ直ぐに見つめ、勢いに任せて言葉を押し出した。
「好きで……っ、……舌噛んだ」
「うわ、痛くないか？大丈夫か？」
「アッ、うん……ありがと」
むりだ。はずかしい。
まさかこんな大事な場面で噛むと思わなかった。顔に熱が集中するのが分かる。ジンジンと鈍い痛みを発する舌を無視して、私は唇をかみしめた。
「……瀬見！」
血ィ出てないか、と私の顔を覗き込んでいた瀬見と、同じ高さで目線があった。ええい、ままよ。
「私、瀬見が好きだ！」
睫毛、長い。相変らず整った顔がぽかんとしている。
瀬見が小さく口を開いたけれど、遮るようにさらに声を張り上げた。
「まず顔が好き。性格はそれ以上に好き！あのっ……ああ、もう、上手く言えないけど本当にかっこいいヤツだと思ってる！サーブのフォームが好き！もはや私服がダサいのも好き！それに――」
「ちょ、ちょっと待て！タンマ！」
瀬見がこんな風に焦ったように大声を出すのは珍しくて、つい言葉を連ねるのをやめてしまった。それがいけなかったのだと思う。舌を回すのに傾けていた神経が戻ってきて、瀬見の顔をうかがう余裕ができてしまった。
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金平糖 - 英太君にフラれた時は１日自分を責めましたね、馬鹿〜って。（作者さんは悪くありません）これからの展開が楽しみです！更新頑張って下さい！！ (2021年1月3日 21時) (
レス) id: 22491bc67a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ - すっごい面白かったです！瀬見さんカッコいい！続き楽しみです！ (2020年4月3日 16時) (レス) id: 1dbd6d09c3 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - 妖精さん» 妖精さん初めまして、ありがとうございます！続き、楽しみにしておいてやってください！ (2020年2月5日 22時) (レス) id: d263cbf7f6 (このIDを非表示/違反報告)
妖精(プロフ) - 瀬見ィィィィィ！後悔しても知らないぞ！知らないぞ！すっごくおもしろくて、これからどうなるかたのしみです！ (2020年2月5日 21時) (レス) id: 614bb0e68c (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - コムギさん» コムギさん！ありがとうございますー！励みになります更新頑張りますね〜！ (2020年1月27日 5時) (レス) id: d263cbf7f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかき | 作成日時：2020年1月24日 21時
