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時は流れ、三年の春。ここ最近定位置となっている体育館の隅で、私はうめいていた。
「まーた英太クンのこと？」
「うお」
「うおて。全く、Aチャンはたまには顔とのバランスってもんを考えてよねー」
「顔とのバランス……とは……」
唐突に顔を覗き込んできたのは天童だった。で、どしたの？と聞く彼は相変らず勘が鋭いらしい。
「……告白されてた」
誰が、とは言わずとも明白だろう。あらま、と天童が目を瞬く。
「隣のクラスの女の子だったんだけど、素直にかっこいいと思っちゃって……それが悔しい」
恐らく普段は大胆な行動からはほど遠い、大人しい子なのだろう。好きだと精一杯告げる声は上ずり、脚は微かに震えていた。
それでも彼女は凛として、大地を踏みしめてしっかりと瀬見を見据えた。偶然目撃してしまったそれに、単純にかっこいいと思ったのだ。
「結果は？」
「断ってた」
瀬見は困ったように自らの髪をかきまわして、言いづらそうに断った。というより、ずっと居心地が悪そうだった。まるでこんなのには慣れていないと言いたげに。何回も告白されてるくせに！
「それが英太クンクオリティだよねー」
「ずっと戸惑ってたのに受け答えが誠実で優しげだったのは？」
「それも！」
「ですよねー」
俯いて体を縮こませる。瞼を閉じると、そこに泣かなかったあの女の子の笑顔が浮かんだ。
「ごめんな」と言う瀬見に一瞬息を詰まらせて、でもその子は綺麗に笑ってみせた。気にしないで、変なこと言ってごめんねと。そんな彼女に、瀬見はしきり謝ったしありがとうと言っていた。
「太一呼ぶ？」
天童の柔らかい声にかぶりを振った。その代わりに、硬い声で宣言する。
「天童」
「んー？」
「私、瀬見に告白する」
へ、と天童が間の抜けた声を出した。それから、熱でもあるのかと騒ぎ出す。
「体調悪いんならすぐ休んだ方がいいヨ、保健室行く！？」
「え、なに、うるさっ」
「あんなに奥手なAちゃんが告白なんておかしい……！」
「う、うるさいな！」
どうやら私はからかわれていたらしい。しかし私は知っている。経験上、天童は私がこういう反応をすればするほど面白がって追撃するのだ。
「はー、なかなか気持ちを自覚しなかったうえに告白のこの字もなかったAチャンがねえ……」
「もうやめてぇええ……」
応援してるよ、の言葉も半笑いだ。私は気恥ずかしさと不安に揺られながら、曖昧に頷いた。
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金平糖 - 英太君にフラれた時は１日自分を責めましたね、馬鹿〜って。（作者さんは悪くありません）これからの展開が楽しみです！更新頑張って下さい！！ (2021年1月3日 21時) (
レス) id: 22491bc67a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ - すっごい面白かったです！瀬見さんカッコいい！続き楽しみです！ (2020年4月3日 16時) (レス) id: 1dbd6d09c3 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - 妖精さん» 妖精さん初めまして、ありがとうございます！続き、楽しみにしておいてやってください！ (2020年2月5日 22時) (レス) id: d263cbf7f6 (このIDを非表示/違反報告)
妖精(プロフ) - 瀬見ィィィィィ！後悔しても知らないぞ！知らないぞ！すっごくおもしろくて、これからどうなるかたのしみです！ (2020年2月5日 21時) (レス) id: 614bb0e68c (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - コムギさん» コムギさん！ありがとうございますー！励みになります更新頑張りますね〜！ (2020年1月27日 5時) (レス) id: d263cbf7f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかき | 作成日時：2020年1月24日 21時
