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「……まっか」
「うるせ」
目線を外してあらぬ方向を向いているその頬は、見たことがないような朱に染まっている。
それを見て、先刻とは違う恥ずかしさがこみあげてきた。けれど、今が攻める時だと本能にも似た何かが叫ぶ。
「瀬見！」
「……おう」
「つ、きあってください！」
やっぱり噛みそうになったけれど、言った。ついに言った。
うわ恥ずかしい。もうなんというか、この感情を恥ずかしいとしか形容できない。心臓は激しく縮んでは広がりを繰り返しているし、頭の中なんて沸騰したようだ。
あーとかうーとか、瀬見はよく分からない言葉をうめいている。……うわ、しんどいな、この時間。
鈍感という二文字を擬人化したような彼は、当然告白の答えについてある程度考えるなんてマネをしていない。すぱっと一刀両断されないのが期待を煽ってタチがわるい。
「あー……世良」
「うん」
「ごめん。嬉しいんだけど、お前にはもっとふさわしいやつがいるだろ。俺なんかにはもったいないよ」
ややあって、私の口からは素っ頓狂な声が飛び出していた。
「はあ？」
「えっ」
一見お断りの常套句に見えるそれ。けれど、瀬見は誠実で嘘のつけない男であるということを、この二年間で私はよく知っている。そんなごまかすような言い方、瀬見はしない。
つまり、瀬見は本心から私と自分が不釣り合いであると思っているのか。嘘だろ。
「……ねえ、まさかそれ本気で言ってる？」
「だってそうだろ、世良モテるだろ？」
私が恐る恐る確認すると、奴は曇りなき眼で頷いてみせた。頭に血が上る。
そんなの知ったこっちゃない、私は私にふさわしいと思ったから人を好きになるんじゃない。そう怒鳴りつけてやろうかと思った。――けれど、それが達成されることはなく、私は口を間抜けに半開きにしたまま固まってしまった。
うつむきがちな彼の目線はあまりに切なげに見えた。口角が少し自嘲気味に上がっている。……どうしてそんな表情をするの？
「あ、えー……」
「……どうした？」
「いや、何でもないっす……えー……」
体から力が抜ける。なんだか立っているのも馬鹿らしくなってしまって、適当な椅子を引いて座った。瀬見も向かいの椅子に腰を下ろす。
「……『ふさわしいやつ』って、具体的に誰？」
そんなことを聞いてみると、彼は珍しく歯切れが悪く、もにょもにょと言い訳し始めた。
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金平糖 - 英太君にフラれた時は１日自分を責めましたね、馬鹿〜って。（作者さんは悪くありません）これからの展開が楽しみです！更新頑張って下さい！！ (2021年1月3日 21時) (
レス) id: 22491bc67a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ - すっごい面白かったです！瀬見さんカッコいい！続き楽しみです！ (2020年4月3日 16時) (レス) id: 1dbd6d09c3 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - 妖精さん» 妖精さん初めまして、ありがとうございます！続き、楽しみにしておいてやってください！ (2020年2月5日 22時) (レス) id: d263cbf7f6 (このIDを非表示/違反報告)
妖精(プロフ) - 瀬見ィィィィィ！後悔しても知らないぞ！知らないぞ！すっごくおもしろくて、これからどうなるかたのしみです！ (2020年2月5日 21時) (レス) id: 614bb0e68c (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - コムギさん» コムギさん！ありがとうございますー！励みになります更新頑張りますね〜！ (2020年1月27日 5時) (レス) id: d263cbf7f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかき | 作成日時：2020年1月24日 21時
